23.対価
(1)0歳編
サイモンSide
原初の精霊様方がリアのそばで守ってくださるそうだ。
願ってもいない事だが、いいのだろうか?
それに、迷惑をかけるからと対価まで払うとおっしゃっている。
こちらが対価を払うべきだろうに、指名だからと逆に対価として子供たちに魔法を教えてくださるという。
いいのだろうか……?
いくらリアのためとはいえ、なにか対価はお支払いするべきだと思うのだが……。
「父:お聞きしてもよろしいでしょうか?私たちからなにかお支払いするものはなにのでしょうか?もしくは、整えるべきものなどありましたら、お聞きしたいです」
“タダの誘惑は毒”という言葉がある。
この国のことわざだ。
無償だからと罠がないとは限らないし、見返りに高いものを要求されるという意味だ。
さすがに、精霊様方相手に不敬かもしれないが、契約している訳でもないし、その辺はしっかり確認しておいた方がいいだろう。
精霊との契約はこの世界においてとても重要な役割を果たす。
まずこの世界では、世界中全ての人に魔力がある。
多い少ないはあるが、等しく平等にだ。
その魔力を契約した精霊に渡し、魔法を行使してもらうのが、契約と魔法の使い方だ。
だから先程の契約もしていないのに、マリアを癒してくれたことは、本当に驚いた。
高位になればなるだけ、精霊の自我は強く、選り好みもされる。
リアの母親だからと魔法を使ってくれたこと自体、おかしいと言ってもいいほど特別なこと。
それに昔、精霊の力を侮り、酷使し、忠告があったにも関わらず悔い改めなかったせいで、国が一つなくなった歴史がある。
大きな帝国だったが、力をつけすぎたのだろう。
搾取するだけしたせいで、精霊王の怒りを買ったのだ。
現在は、いくつかの国になり豊かさを取り戻しているが、2度とあの悲劇を繰り返してはいけない。
精霊のためにも、人種族のためにも……。
『風:対価はいらぬ。我らは食事もせぬし、1日くらい寝ずとも平気故、交代のタイミングで休むことにする。姿も消せる故、離席せよと言われれば離れることも可能』
『闇:何か差し出さねば気が済まないのであれば、屋敷や敷地内を特に整えるのじゃ。清潔さといい空気は妾たちが過ごしやすい。清潔さは十分じゃが……』
と、闇の精霊様が言い淀む。




