17.家族紹介
(1)0歳編
サイモンSide
少しの間、私たち家族は空気だった。
完全にペースを持っていかれ、口を挟む隙すらなかった。
それにしても、原初の精霊様と言う存在は凄まじい。
まさか生まれたばかりのリアの声を聞くことができるとは……。
しかも、しっかりとした口調だった。
愛し子とは生まれた時から自我がしっかりあるのだろうか?
それとも、精霊様方の祝福の影響なのだろうか?
定かではないが、話を聞かなければ。
なんと言っても私たちは家族、リアの親なのだから。
それからは家族の紹介が始まった。
精霊様方に先を越されてしまったので、悔しくもあるが、リアはまだ自分の名前も知らない。
「初めまして、生まれてきてくれてありがとう。私は父のサイモン。君はエリアーナだよ。皆んなはリアって呼んでいる。よろしくね」
闇の精霊様から差し出されたリアを抱き上げながら告げる。
(リア:お父さん…エリアーナ…リア…)
考えるように目を瞑り、呟くように発せられたリアの思考。
生まれたばかりでは理解できないか。
仕方ない……。
「初めまして、可愛い子。元気に生まれてきてくれてありがとう。お母様ですよ。名前はマリアベルです、よろしくね」
続いて、マリアに抱かせると自己紹介を始めた。
(リア:お母様…私のお母さん…)
今度はマリアをしっかりと見据え、リアはそう呟いた。
次に子供達の元へマリアからリアを預かり、移動した。
「父:イルから順に挨拶なさい」
「はい、父様。初めましてリア。お兄ちゃんのミハイルだよ。イル兄様って呼んでね」
イルはニコニコの笑顔で挨拶をした。
「初めまして、ちっちゃなリア。お姉ちゃんのセレスティーナよ。セレ姉様って呼んでね」
セレはウインクをしながら挨拶をした。
「初めまして、可愛い妹リア。お姉ちゃんのレティシア、シア姉様って呼んでね」
「初めまして、可愛い妹リア。お兄ちゃんのヨシュア、ヨシュ兄様って呼んで」
シアとヨシュは双子らしくそっくりな挨拶をした。
(リア:イル兄様…セレ姉様…シア姉様…ヨシュ兄様…)
子供達の顔を見渡しそう呟く。
リアが段々と理解しているような感じがする。
続いて父にリアを託す。
「おじいちゃんのジャンカルロですよ〜。可愛いリアに会えて嬉しいよ」
リアを抱き上げながら嬉しそうに破顔の表情でデレデレと挨拶をする。
孫が生まれる度これだ……。
「全くあなたは……。初めまして、リアちゃん。おばあちゃんのエマですよ。よろしくね」
呆れ顔の母には激しく同意だ……。




