7.対面
(1)0歳編
ジャンカルロSide
孫が生まれた。
サイモンの5人目の子供で女の子だそうだ。
さぞ可愛いのだろう。
だが、少々問題が発生したようで、サイモンが珍しく慌てておった。
子供に何かあったのかと思えば、髪と瞳の色が銀だと言うではないか。
他国や教会にさらわれないようにせねば。
イールスハイド王国の筆頭公爵家当主として、難しいところではあるが大事な孫を政治に利用するようなことはあってはならない。
貴族ゆえのしがらみはあるものの孫を差し出してまでする政はない。
家族が大事。
領民が大事。
仲間が大事。
私は、私の持てる力を総動員して大事な物を守るまで。
早く可愛い孫に会いたいものだ。
コンコンーーー。
代表してマリアの部屋の扉をノックする。
中からエマの侍女で出産の補佐をしていたグレイスが顔を出した。
「旦那様、奥様、皆様も。今しがたお嬢様がお眠りになられましたので、お静かにお入りください」
「あいわかった。失礼するよ」
グレイスの言葉に皆で頷き、順番に部屋へ入る。
そこには、身綺麗にし体を起こすマリアの姿とそれを支えるマリアの侍女のロナがいた。
「起きていて大丈夫?マリアさん。お疲れ様。大勢で押しかけてごめんなさいね」
エマが労りの声をかける。
「お義母様、ありがとうございます。少しなら問題ありません」
マリアは魔法で疲労を取り除いてもらったのか少しは起きていられるようだった。
もちろん無理は禁物だが、今は有事。
正直部屋へ招き入れてもらえて助かった。
「でも、無理はいかんぞ」
「ありがとうございます、お義父様」
「早速で悪いが、孫に合わせてもらってもいいかい?」
「はい、もちろんです」
マリアに確認をとり、生まれたばかりの小さな孫に近づく。
「っ!」
驚くことに本当に眩く光る銀髪ではないか。
サイモンの、侍医たちの言葉を疑っていたわけではないが、実際に見るまでは俄かに信じられなかった。
だが、目の前にいるのは真ごう事なき銀髪の赤子だ。
さあ、これからどうしたものか。
「可愛いです」
「綺麗な色だわ」
「「小さい赤ちゃん」」
考えていると孫たちも赤子と対面したようだ。
次々感想を述べるが、そこに恐怖や悪意はない。
自分たちと見た目が違うからといって特に気にする様子は見られない。
そこにはほっと一安心だった。




