6.家族の反応
(1)0歳編
サイモンSide
慌てて席を立った私に待ったの声がかかる。
「急にどうしたの?」
「慌てすぎて、名付けを忘れてしまいました。今から行ってきます」
本当にどうかしている。
これでは周りに不要の烙印を押された子と認識されてしまう。
それだけは阻止せねば。
誰がなんと言おうと、家族に、マリアに、否定されようと私にとって可愛い娘の誕生に違いはない。
ちゃんとお祝いをしてあげられなかったことへの後悔が募る。
「待ちなさい。確かに大事なことだが、先生方の話を聞いてからみんなで行こう。それからでも遅くはないはずだ」
父はそう言い、メイドにマリアの部屋の入室許可を家族分取りに行かせ、私をもう一度椅子に座らせた。
そして、娘を取り上げ診察をしてくれた先生方に話を聞き始めた。
「では、説明いたします。まず、体重身長など全て基準値平均的な健康な女のお子様です。そして先に顔立ちですが、マリアベル様にそっくりな愛らしいお顔でした。最後に、髪色と瞳の色ですが…銀色です。瞳は青みがかった銀色でした」
侍医のモンテールがそう告げた。
続いて、助産師のパトラがマリアの状態について説明をし、部屋への短時間の入室が許可された。
「サイモン。私は、銀色を持つ子だろうと、マリアが産んだ子。お前との子供だ。何があっても守ると誓おう」
「わたくしもジャン同様、なにものからも守るわ。必要な知識も惜しみなく学ばせるわ」
両親から力強い言葉が聞けた。
どうやら応援してくれるようだ。
まずは一つ安心だが、子供たちはどうだろうか?
「父様。私は可愛い妹ができてとても嬉しいです。色など関係ありません。妹は妹です」
長男のミハイルがそう告げた。
彼は今年10歳になる息子だ。
頭がよく、回転もはやい。
そして何より優しい家族思いの子だ。
「父様、私もイル兄様と同じ意見です。可愛い妹は何人いても大歓迎です!色も絶対可愛いです!」
と、力説する長女のセレスティーナ。
8歳だが、マナー講師もびっくりするほど優秀な淑女でちょっと家族愛が強い女の子だ。
なぜ、見てもいない妹を可愛いと力説できるのかは謎だけど……。
「「妹かわいい!ぜったいです!」」
そう言うのは4歳になったばっかりの双子の次女レティシアと次男ヨシュア。
可愛いのは絶対らしい。
揃いも揃ってさっき考えていたことが、バカらしくなるほどの勢いだ。
心配入らなそうだけど、見たらどうなることやら。
「それなら先生方の許可も出たし、マリアの許可も出たから皆んなで行くかい?」
そう声をかけると、子供達の目はキラキラに、両親もワクワクと言った感情が伝わってきた。




