28.下級使用人からの贈り物
(2)1歳編
エリアーナSide
前に出た下級使用人の1人。
フィオナと庭いじりをする時に手伝いをしてくれた子だ。
「下男:お嬢様にお目にかかれて光栄です。」
少しオドオドしながら、でも私の目をしっかり見てプレゼントの入った箱を渡してくれる。
「リア:ありあと。あにゃた、おにゃまえは?」
私に名前を聞かれたことに驚いた彼は、目線を彷徨わせて、テオバードを見る。
テオバードは、私を見たあと頷いた。
下男の彼は深呼吸をして、私の方を向く。
「下男:ラジルです」
「リア:リャ……ラジル!よろちくね」
悩殺しない程度にニッコリ微笑む。
その後、10人ほどの下男と、10人ほどの下女全員の名前を聞く。
ラジルを見た時、ビビッときた。
この人は、魔力が大きいし、頭も良さそう。
鑑定はしてないし、無の精霊様には頼れないけど、直感で感じた。
この人が欲しいとーーー。
あとで、お祖父様にお願いして、私の専属従者を決める時の候補にして欲しいと伝えよう。
ラジル1人に声をかけるのはどうかと思ったので、他の下級使用人の皆んなにも名前を聞いた。
会ったことの無い人もいたし、ちょうど良かったけど、怪しまれずに済んだかな?
そして、皆んなの名前を聞いた後に箱を開ける。
中には、2つのカバンが入っていた。
下級使用人で、給金も少ないだろう。
事情があって、使用人になったのに、わたしにお金を使って良かったのだろうか……。
とても上等な皮のポーチと、可愛らしいリュックが入っていた。
「下女1:裁縫の得意な下女で、リュックは作りました」
なんと、作ったらしい!
手作りとは思えないほどの出来である。
「リア:売りもにょみたい……しゅごい」
数人で作り、装飾や刺繍は、他の下女が担当したようで、女性下級使用人全員の傑作らしい。
これは、それだけで生計を立てられるのでは?
「下女2:カルティール家でお世話になる方がたくさんのことを学べますので……」
申し訳なさそうに、言うが確かにその通りなのかもしれない。
お針子さんとして、街で働くより、カルティール家の下女の方が給金もいいだろうし、学園にも通える。
必要な知識も付けられるし、技術も学べる。
誰でもなれるわけではないカルティール家の使用人ーーー。
それを捨ててまで、得意だからと好きだからとお針子さんを選ぶことはしないんだとか。
なら、私が大きくなった時に、やりたい事の1つとしてある商会作りに協力して貰えないかなと考える。
お祖母様に異世界産のものを作ってもらったり、売ってもらったりする時に、自分でお店を作ってみたら?と言われたことが以前ある。
その時に、私のお店を作れるのは楽しいかもと思い、勉強中なのだ。
食事部門、衣類部門を作りたいから、その衣類部門のお手伝いをしてくれたらありがたい!
そのためにも、辞めないで欲しいな……。
これも後でお祖父様に相談だ。




