逃避行の終わり
――東雲凪視点――
目の前に見えるのは多くのモンスターの亡骸と血でできた水たまり。
濃厚な血と灰の匂いが鼻腔を満たす。
『もう――て!こんなこと―ても、―――さんは』
『見失――!お前は――』
周囲には複数人のハンターがいて、何かを必死に叫んでいる。
疲労のせいか…それとも苛立っていたせいか、俺の耳にはハッキリとは聞こえない。
「う…さい」
自然と口から零れた声。
「うる…さい!」
自分のもとは思えないほど、その声には憎悪が籠っていた。
全力で跳躍し、一人のハンターの背中に回り込む。
俺は何をしようとしていたのだろう…。
そんな疑問を憎悪で包み、衝動のままに刀を振るった。
「っ!?」
男の背中を大きく斬った。
流石熟練のハンターといったところか、致命傷は避けられてしまった。
まだ…死んでいない。
「凍てつけ…」
少し離れた位置から、魔法の詠唱が聞こえた。
咄嗟に振り向き、詠唱する中年の男に咄嗟に石を投げる。
「くっ!」
間一髪のところで顔を逸らし回避した中年の男は詠唱を中断し、その場に尻もちをつく。
「おちつけぇぇ!」
大きな盾を持ち、こちらに突進してくる大男を殴り飛ばした。
大盾は見事に凹み、俺の拳も皮がむけ血が流れる。
飛ばされた男の反応はない、気絶したようだ。
「――君…。どう――て」
誰も止められない。
俺ももう止まらない。
刀を振るうんだ。
この感情が…憎しみが消えるまで。
ふと手に握った刀を落としてしまった。
「あ?」
刀を落とすなんてありえないと思いつつも、拾おうと手を伸ばした時、脳裏に母さんの顔が浮かぶ。
「母…さん?…あ?お、れは…東雲…一刀流を…」
連鎖するように記憶が呼び覚まされていく。
『東雲一刀流は守りたいものを守るためにある!どう?かっこいいでしょ?』
母さんが剣の修行の際、手本を見せてくれたあとはいっつもドヤ顔で言っていた言葉だ。
『おぉ!上手!これは才能あるねぇ。凪と優がいてくれれば東雲一刀流は滅びないね』
俺たちがうまく技を覚えるといつも褒めてくれた…。
頭を撫でてくれるあの感覚と、温かい言葉が胸にしみる。
『あのね、何度言ってるけど東雲一刀流は君たちには似合わないとおもうなぁ。理由が知りたいって顔してるね?理由は、君たちが人を傷つけることに快感を得るような気持ち悪い人間だからだよ』
母さんに東雲一刀流を習いたいと迫ってくる、顔の怖い冒険者たちに言い放った言葉だ。
カッコよかったな…あの時の母さん。
『東雲一刀流は私にとってとても大事なものなんだ。もちろん、今では凪と優の方が大事だけどね』
そうだ…母さんはいつもそう言ってくれた。
大切だって。
だから、俺たちにとっての大切な人、そして家族を守れるように、東雲一刀流という守るための力を…つけてくれたんだ。
記憶の波が途絶え、現実に戻された。
俺の手には刀が握られていた。
そう…いつの日か、母さんにもらった刀だ。
「俺は…母さんに貰った…この刀を…技を…」
涙が頬を伝った。
我を忘れるほどの憎悪はどこにもない。
…ただ視界の中には、刀を握る小さな手のひらと、傷つけてしまった人たちの姿があった。
俺は母さんが大事にしていた技を、人を殺そうと…して…。
そこで、俺の思考は止まる。
ほぼ無意識だったのだろう。
自分のやったことを理解したくなくて、母さんの顔をこれ以上思い出したくなくて…
だから、楽になろうとしたんだ。
刀の刀身に反射した自分の顔を見つめ、自嘲気味に笑う。
「ははっ、最悪な馬鹿だ」
両手で刀を握り、自身の心臓めがけて――刺す。
不思議と痛みはない。
地面に流れる血は俺の血……
「ごめんね、凪君」
優しくて、温かい声だった。
ゆっくりと視線を上げる。
「あ…ぁぁ…なんで」
刀身を握る血まみれの手、目の前には涙を流す女性の姿。
地面に滴る血は、自分のものではなく目の前にいる女性のものだと理解した。
「もっと早く…凪君を見つけていれば…。ミチ婆に頼まれてたのに…ごめんね…」
「…え…あっ…」
女性は俺を抱きしめる。
彼女から伝わる温かさは、心地が良くて…。
すぐに意識が朦朧としてきた。
手放しそうになる意識を必死につなぎ止め、心に刻む。
俺は母さんから託された力を使う資格なんてない。
だから…別の誰かに託そう。
この東雲一刀流《力》は、俺が持つべきものじゃなかった。
そこで意識は途絶えた。
◇
ゆっくりと目を開ける。
全身、ひどい汗だ。
「くそ…嫌な夢だ。って、天井高…」
「そうですか?まあ、学校の教室よりも高いのは確かです」
「……オーケー、ツッコミは入れないぞ」
「はい?」
当たり前のように俺の寝ていたベッドの横にある椅子に座っている結乃。
そのことに関しては、考えるだけ時間の無駄と割り切り、状況を整理をする。
確か俺は結乃がラルドと呼ぶ騎士と戦って、圧倒的な実力差になすすべなく負けた。
…確かそのあと、踏ん張って一撃与えて…俺は意識を手放して……
「あれ?なんで俺生きてんの?」
「途中から態度が変わって見逃してくれましたよ。ラルドはあなたに価値を見出したのかもしれません」
最後のラルドの言葉…姫を救いたいなら…。
おそらく姫というのは結乃のことだ。
ならば、救うというのはどういう意味なんだ。
「なぁ、結乃。いくつか聞きたいことがある」
「はい」
「ラル…」
言葉が詰まる。
冷静に考えて、この状況で結乃に訊くべきか迷ったんだ。
彼女の性格からして、何かしらはぐらかしてくるだろう。
なら、これから見つければいい。
彼女が俺を観察するように、俺も彼女を知ればいい。
そこまで考えて不意に気づく。
思考が自然と結乃を救う事を前提としていることに。
そして、心の中で自嘲気味に笑う。
まだ英雄ごっこがしたいのか?と。
「やっ――」
「ラルドのことですよね?」
「えっ?あ、あぁそうだ。あの騎士は何者だ?」
特に違和感なく、当たり障りのない話に切り替われた。
「私もラルドのことは正確には知りません。なので、出会ったときの話をしましょう」
「頼む」
「はい、私がラルドと出会ったのは、数年以上も前…お父様たちがあの『ゲート』に潜った翌日です」
――天宮結乃視点――
今日は、お父様たちのゲート攻略の体験として、私も同行することになっている。
「結乃、よく見ておくんだ。ハンターの仕事を」
「はい」
私の返事を聞いて満足したのか、お父様は集めたハンターたちに向かって大声を放つ。
「全員、構えろ!これより、『ゲート』の攻略を開始する!」
ゲートへ足を踏み入れるお父様を追うように、私もゲートへ侵入した。
「これが…」
『ゲート』の中に広がる空間は私が予想していたものとは違っていた。
現実の外と何ら変わりのない草木に、澄んだ空気。
空には太陽のような光源と、無数の流れ星が見える。
中央には巨大な柱があり、頂上は空を貫いていると錯覚するほど高くて見えない。
すごく幻想的な空間だった。
「お父……」
お父様に話しかけようとした時、異変に気付く。
「?」
周囲にいるハンターたちの顔が、どこか不安そうに見えた。
急いでお父様の顔を見る。
「……」
お父様の顔は険しさが増していた。
この空間が普通ではなく、異質であることを察するのに時間はかからなかった。
「ここは、不味いかもしれません…。豪造さん、さすがに引いたほうが…」
一人のハンターがお父様に提案をする。
それに対しお父様は、表情を変えることなく言った。
「何を言っている、ここは安全だ。お前たちもわかるだろう?モンスターどもの気配が驚くほどない」
「それは…そうですけど…」
「…お前の心配も理解できる。そうだな…ではこうしよう」
お父様は息を吸い込み、この場にいる全員に聞こえる声量で指示を出す。
「全員、聞け。確かにここは何かがおかしい。不安な者はこの場に残れ。勇気のあるものは私についてこい。危ないと思ったら、すぐに引き返せよ。俺は全員を守ることはできないからな」
近くにいたハンターの小声の会話が耳に入ってくる。
「嘘だろ…あの豪造さんでも…」
「どうする?」
「どうするも何も、あの豪造さんにここまで言わせる場所だ、俺は残る」
最終的に、お父様についていくことを決めたハンターは最初の半分以下になっていた。
「結乃…お前は残って欲しいんだが…」
「私もついていきます。これが『十二天』の家系に生まれた責任でもあるんでしょ?」
「……ふぅ。そうだな。お前だけは絶対に守る」
お父様は私の頭を軽く撫でる。
「よし…。それでは、奥へ進むぞ。警戒を怠るな、自分の命は自分で守るんだ」
お父様を先頭に、私たちは森の中を慎重に進んでいく。
ある程度の距離を歩いた頃、お父様の態度が一変した。
「今すぐ引き返すぞ」
「…お父様?」
周囲のハンターたちへ視線を向けると、彼らも困惑気味だった。
ますます状況がわからなかった。
「ここは危険だ。奥に化け物がいる」
お父様は額から汗を流し、無言で私の手を引いて入口まで戻った。
「お父様…痛い」
結局、私は何が何だかわからず家に帰らされた。
その翌日、ゲートのある場所へ足を運んでいた。
どこか夢を見ているような感覚で、あの場所に行かなきゃいけないという謎の使命感があった。
気が付けばゲートに入り、森を進んでいく。
お父様が引き返した場所を超えても、私は特に何も感じることはなかった。
そして、遂に巨大な柱のあるこの空間の中心部にたどり着く。
そこには物語に出てくるような騎士がいた。
「ラルド…そこで何をしているの?」
ほぼ無意識だった私の問いかけに騎士は反応する。
「っ!?……姫。よくぞおいでに」
騎士は私に跪く。
「姫?私は天宮結乃です。姫になった覚えはないです」
「姫は覚えていなくとも、私の魂が覚えております」
話がかみ合う気がしなかった。
それにしても、私が一方的に知られているというのは、どこか不気味だ。
「魂?わからないけど、聞きたいことがあるの。ここはどこで、あなたは何者なの?」
「ここは『追憶ノ双生』。私は…そうですね……忘れ去られた異国の英雄…というところでしょうか」
異国の英雄…その言葉はあまりにも聞きなじみがなく、どこか現実離れしたものに聞こえた。
「異国の英雄?日本じゃないアメリカとか海外のこと?」
「ニホン?アメリカ…姫、すみませんがそのような場所は初めて聞きました。私がいた国はラギリア帝国です」
「ラギリア…帝国?聞いたこともない国」
「そうでしょう。ラギリアの地は滅びました。忌々しい炎龍によって…」
騎士から放たれる魔力に、鎧が軋み、声からは憎しみのようなものが感じ取れた。
その放たれた魔力から、お父様の言う化け物がこの騎士であると理解した。
「炎龍…それはもしかして獄炎龍のことでしょうか?」
「獄炎龍…。この空間の外……あの忌々しき龍の気配を感じていたが…。そうか…この世界では獄炎龍と言われているのか…。本来ならば私が奴の首を落とし、同胞…そして今は亡き我が主君へ捧げたい…。だが、長い年月によって、私の寿命は尽きかけている。あと3戦…いや、そう長くはないのかもしれない…。だから、残り少ない時間で私は…英雄たり得る器を…あなたの騎士を……」
「ちょっと待ってください」
理解が追い付かなくて、思わず騎士の話を止める。
話のスケールが違いすぎて、今の私じゃ処理しきれない。
「時間…か。姫、そろそろ戻りましょう」
「いえ、あなたについてまだ…」
「姫…あなたが知る機会はいつでもあります。だから、今日はお帰り下さい」
「…本当にいつでもあるんですね?」
「はい」
私は彼に導かれるままに、ゲートから抜け出し、その日を終えた。
――凪視点――
「その日から、何度か『ゲート』に入って騎士…ラルドから情報を集めたんです。彼は警戒心が強いのか、なかなか核心に触れるような話をしてくれないのですが…」
「すまん、情報量がすごすぎてやばい」
結乃はかなり正確に語ってくれているが、内容が内容なだけにうまく呑み込めない。
「要はあの騎士…えーっと、ラルドは異世界の英雄で、獄炎龍を倒せるほどの人材を探しているってことだよな?で、その英雄に結乃の騎士をやってほしいと…」
考えれば考えるほどに、内容が脳内で絡み合っていく。
「ごめん、頭痛がしてきた」
脳の処理がオーバーヒート寸前になった俺は、再び横になる。
部屋にある時計に目をやると、午後7時を指していた。
「…かなり時間が経って…そういえば俺、どうやってここに戻ってきた?」
「お兄様に頼んで運んでもらいました」
「お礼、言っとかないとな…」
「それならちょうどいいですね。これから夕食なので、家族全員が集まります」
「え、俺が参加してもいいの?」
「当たり前です。行きますよ」
立ち上がった結乃についていくため、体を起こす。
そこで、腹部に違和感を感じた。
(あれ?確か切られてなかったか?)
俺の記憶が正しければ、かなり深々と切られていたはずだが…。
触ってみるが痛みがない、それどころか傷一つ残っていない。
俺の様子を見て察してくれたのか、結乃が疑問に答えてくれる。
「ラルドからぽーしょん?を貰ってあなたに飲ませました」
「あれ?冗談半分で聞いてたけど、ガチで異世界じゃない?」
若干怠さの残る体を動かし、たどり着いたのは大きい扉の前だった。
俺たちの姿を見たメイドさんが、扉を開けてくれる。
開かれたその先には、席に座る天宮家御一行と、豪華な食事が並んだ縦長の巨大なテーブルがある。
一般家庭じゃ目にすることのない光景に内心驚いた。
「君が東雲凪君か?」
「はい…東雲凪です」
話しかけてきたのは、黒髪をオールバックにした筋肉に覆われたゴツイ体をした男性だった。
「そう緊張しなくていい。結乃の友人として、気軽く過ごしてくれ」
「ありがとうございます」
そう答えた直後、近くにいる結乃に小声で尋ねる。
「なぁ、マナーとか知らないんだけど…」
「大丈夫ですよ。お父様もマナーなんて気にせず豪快に食べますから」
「え?そういう問題?」
メイドに案内され、椅子に座る。
横には天宮兄が座っていた。
「あ、今日迷惑かけてしまってすいません。えーっと」
「ああ、そういえば自己紹介してないね。俺は天宮櫻。気にしなくていいよ、困ってたら助け合いだろ」
さすが天宮家…精神までも立派なものだ。
櫻に続き、自己紹介の流れが広がる。
「はじめまして。私は天宮三春、紗優と結乃、櫻の母です」
「で、俺が天宮豪造。天宮家の現当主だ。結乃が友達を連れてくるなんて、俺は感動しているぞ!」
「……」
結乃は無言だった。
天宮豪造に関しては、初見の印象から180度変わり始めている。
最初の威厳ある感じはどこへいったのだろうか。
「そういえば優凪の墓参りへは行ったのか?」
「はい、私と一緒に行きましたよ」
豪造の質問に結乃が答える。
「そうか」
「お父様も墓参りを?」
「ああ、なぜか今日は顔を出さないといけない気がしてな。そしたら、珍しく勿忘草なんて置いてあった…。基本大雑把な俺でも、ユウナの好きだった花は覚えててなぁ。たまたまかと思ったが、君の名前を聞いて確信したよ」
豪造が俺を見る。
その瞳には圧があり、俺は金縛りに似た状態になった。
「東雲凪…。ふむ…どうやらまだ悪夢から目覚められていないように感じるな」
その一言は、俺の現状をはっきりと理解した言葉に聞こえた。
このおっさん、メンタリストいけるんじゃないのか。
「おっと、食事中にする話ではなかったな。思う存分食べてくれ。それと食後は風呂の準備もできてるぞ」
その後、雑談交じりの食事を楽しみ、銭湯と間違える規模の風呂で一日の疲れを落とした。
「ふぅ…財力ってすごいな…」
風呂上り、貸してもらった部屋へ向かう道中、豪造と会った。
「食事も風呂も何から何までありがとうございます」
「気にするな。それより、風呂上がりにおすすめの場所があるんだ」
「おすすめの場所?」
「ああ、今日ユウナの墓参りへ行ったのだろう?」
「…はい」
「そこはな、ユウナが気に入っていた場所なんだ。昼は花畑が綺麗でな。夜になると、昼間とはまた違う楽しみ方ができる場所だ。気が向いたら行ってみるといい」
そう言うと豪造は歩き去っていった。
一度行こうか迷ったが、師匠のお墓が脳裏を過り考え直す。
「…寝よう」
俺は部屋へと戻り、ベットに横になる。
今日は結乃と歩き回ったり、ラルドに殺されかけたりで限界だ。
もう外を歩く気力なんてない…ないんだ
ふと、窓の外を見れば綺麗な夜空が広がっていた。
その景色を見ると、花畑を思い出す。
(っと、待て待て。なんで行かなきゃいけないんだ?)
窓から目をそらし、瞼を閉じる。
「……」
寝ようと必死に別のことを考えてみる。
しかし、本当に忘れたいものはすぐに忘れられないらしい。
「あー、くそ」
◇
結局、俺は花畑へと足を運んだ。
「すごいって、自然の景色じゃなかったのか」
花畑の地面に光源が埋められているのだろう。
地面から放たれる光が様々な色彩で花を照らしている。
豪造が言ったすごいものとは、これことだろうか。
(綺麗ではあるけど、そこまでだったな)
特にすることもないため、帰ろうとした瞬間。
「?」
ふと人の気配を感じた。
振り返り、周囲を見回す。
「気のせい…じゃないよな」
師匠の墓がある場所、大きな木の下に人影を見つける。
立ち姿や気配から、ある程度実力というのは把握できる。
その人影は明らかに、剣を使いなれた人間だ。
相手も俺に気づいたのか、こちらを見ている。
微妙に暗くて顔がはっきりわからない。
まあ、雰囲気からして墓荒らしでもなさそうだし、ここはおとなしく戻るか。
背を向け歩き去ろうとした俺の耳に一瞬、風を切るような音が聞こえた。
すぐさま音の鳴った方を見ると、フードを深く被った何者かがいた。
「誰――」
「――動かないで」
声から女性だと気づいた時には、もう遅かった。
女性の手に持つ刀の刃が俺の喉元まで迫っていた。
本来であれば、喉元に迫る刃に意識が向くだろうが、今は違った。
「その声……お前…」
「驚いた。まさかあんたがここに来るなんて。今更ここへ何しにきたのかしら…凪」
女性はフードを脱ぎ、かすかな光すら反射する美しい金髪と、すべてを見透かすような碧眼を露わにする。
「優……」
まさか、こんな場所で家族全員が揃うとは思わなかった。




