沈夜思跨黙歩考
揺れる街灯
つかの間の沈黙
隅に追いやられた古びた看板が語る
「ここで立ち止まってみろ」
そんなことはわかりきっている
でも止まり方がわからなくて
また足を踏み出す
いっそ流れる雲に乗れるのなら
どこへでも行ける気がして
息をするのを忘れていた
この心の溝を埋める術を探しながら
君の名前を思い出そうとするが
その音もすっかり霞んで見失う
路地裏の猫が睨みつける
「ここに答えはないさ」
その目に映る自分を
石畳に押し付けて
滲む想いを
飲み込むようにただ歩く
なんとかここにいる理由を見つけたい