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理科部冒険記NEXT  作者: Taku-3
襲撃編
9/22

第九幕・鋼鉄

まだ朝日も出ない早朝、村の境界へと歩みを進める。


「はあ…目立ちますね…コレ…。」

無駄にデカい勇者の剣を抱えながら、僕は呟いた。

「でも、乾燥させたお陰で小さくなりましたよ!大体2m位ですね!」

「…十分デカいですよ…。」

「しかし随分と軽そうだな。乾燥させたお陰だろうか…。」

「…なんかもう武器の時点で不安ですよ…。」

そう言ってる内に、地図の場所に辿り着いた。


「ここ…で合ってますかね…?」

「来たか。勇者一行。」

聞き覚えのある声が前方から響く。

「あっ、マワリ警部!」

「おっと、ここでは監督官と呼んでくれ。

…改めて、早朝からご苦労。だが、我々の役割はまだこれからだ。


ここ以外にも諸君のような戦士や魔導士など、戦を生業とする者たちが張り込んでいる。

君たちも、襲撃への備えは済んでいるな?」


「「「はいっ!」」」

「よし。では、ここからは厳戒態勢だ。」


…防災無線が戒厳令の発令を告げた。

古びたスピーカーのノイズがこだまする。


・ ・ ・


戒厳令の発令から2時間が経過した頃…。


『マワリ監督官、村周辺に敵影が!

モンスターの軍勢と見られます!』

観測塔からの声に、僕たちは緊張を露わにする。

「…数はどの程度だ?」

『…そ…それが…。

…2万…3万…いえ、それ以上です!』


傭兵達の間でどよめきが起こる。

「…オイオイ…聞き間違いか…?」

「こんな田舎にそんな兵力…」

「嘘…だよな…?」

焦りは僕たちにも、例外無く伝わった。

「まさか…。この村の兵力を軽く超えるぞ…?」

リカブさんが呟く。

「落ち着け諸君!冷静に対処に…」


ドカァァアァァァアァァアン!!!


マワリ監督官の言葉を遮るように、爆発音が鳴り響いた。


「え……。あの方角って…。」

「メガバイト村の…中央……!」


傭兵の一人が声を荒げる。

「うわぁぁぁあ!!!もうお終いだぁあぁあ!!!

この村も王都のように瓦礫と死体の山になっちまうんだぁぁぁあ!!!」

「黙れッ!」

マワリ監督官の一喝で、傭兵たちは静まり返った。

「この村は滅び…我々は皆殺しにされる…。

…それは、諸君が尻尾を巻いて逃げた時の話ではないかッ!!!


…一般人の避難誘導を行う…!

30名程、今すぐ村の中央へ向かえッ!」

…傭兵達は僅かに士気を取り戻した。

中には、歓声を上げる者も現れる。

「…私はここに残る!ヨシヒコ君!村の人々は任せた!そして9万!ヨシヒコ君を頼む!」

「はいっ!」

「了解ですっ!」


こうして、僕たちは村の中央へ走り出した。


・ ・ ・


「行ったか…。」

私は村の外に向けて大剣と盾を構える。

背後からは悲鳴と爆発音が鳴り響く。

(それにしても妙だ…。

こんな小さな村にこの膨大な戦力…。

いくら何でも過剰ではないか…?


…何故この村を?

何か他に狙いがあるのか…?)


『敵兵力より、一体の飛翔体を確認!

こちらに接近してきます!』

(…考えても仕方が無い…!

今は目の前の事に集中しなくては…!)


「さあ、来るなら来い!平和を脅かす邪悪どもよ!」


キィィィィィイイィイン!


前線に空を切る音が広がる。


「…おい…、誰か俺を呼んだか…?


俺の事だろうな…。

"平和を脅かす邪悪"ってのは…。」

続いて聞こえたのは不気味な声だ。

我々の前に立っていたのは、金属の面に不気味な笑顔を浮かべたモンスターだった。


背後では無数とも思える軍勢がこちらに

歩みを進めている。

「総員!戦闘準備だッ!」

監督官が声を上げ、戦士たちはモンスターの軍勢に武器を向け、走り出した。

「「「うおおおぉぉおぉおおぉお!!!」」」

戦士達の号声が響く。


「…"取り巻き"は任せたぞ、部下ども。」

仮面のモンスターの一声で、モンスターの軍勢もこちらへと駆け出した。


「なあ、そこのお前。」

「……!?」

「俺の事を呼んだお前だよ。」

仮面のモンスターが私の元へと歩み寄る。


「お前は…勇者一行の戦士…

確か"リカブ・イン"だな…?」

「何故、知っている…。」

「そりゃあ…見てたからさ。」

そう語るモンスターの顔には、より不気味な笑顔が浮かんでいた。


「俺は"鋼鉄の魔人"、ウェルダー。

魔王様の意向で人類を根絶やしにする…

…予定だが、この村に来たのはその"ついで"だ。」

「ついで……だと…?

人々や村を傷付けておいて…ついでなどと…」

私は怒りを露わにし、ウェルダーと名乗るモンスターを睨みつける。


「俺はお前を殺すつもりだったが…

王都の件で考えが変わってな。

…出てこい。相棒1号。」

その瞬間、道路のタイルを掻き分け、

地面からモンスターが姿を現した。

顔色は悪く、疲れ果てた中年のような姿をしている。

「コイツは王都で出会った"相棒"さ。

元々は人間だったが…コレの力で"あるべき姿"に変えてやったまでの話さ…。」

ウェルダーは掌の上に"紫がかった真珠"を乗せながら、話した。

(アレは……"魔力の種子"…!?)

「…さて相棒1号…。

お前の妻と子を殺したのは誰だ?」

「それはウェルダー…貴方様です…。

…しかし妻と子供の死は、私にとってあるべき"生"を知るきっかけとなった…!

私は…貴方様には感謝してもしきれませんとも!」

中年のモンスターはウェルダーに向かって跪く。私は再びウェルダーを睨みつける。

「…人々の生活を脅かすのに飽き足らず…。

罪無き人々を力によって縛り付けるとは…。


…ウェルダーと言ったか…!

お前は私の手で殺す…!覚悟しろッ!!!」

「そうか…お前が俺の考えに理解を示してくれれば早かったんだがな…。


…なら、その無駄な抵抗を見届けてやるよ。」


To Be Continued

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― 新着の感想 ―
マワリの呼び名ってほぼ死に設定じゃ…
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