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理科部冒険記 〜実験結果は異世界転移〜  作者: Taku-3
第1部 理科部冒険記NEXT
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第57幕・JUSTY POLICE

「うわっ!?」


突如、窓の外から光が流れ込んで来た。

晴天の中、照りつける日光よりも遥かに眩しい、強烈な光が…


幸いと言うべきか、瞬きをした間に光は消えていた。


「何だ今の…雷か…?」

アレフさんは、窓の外を覗き込んでいる。


「でも…外は雲一つ無い晴れですよ?」

僕もアレフさんの背後から、窓を覗く。


そもそもさっきの光は、稲光のような素早い点滅ではない、どちらかと言えば波打つような点滅だった。

そうなると、尚更不審だ…。


「…原因が分からない以上、不測の事態への警戒を怠るな。今取れる対処法はそれだけだ。」


僕達を宥めるかのように、マワリさんはそう提言した。


「…それにしても不味いな。こんなに不味いカップ麺は初めてだ…実に不味い。」


マワリさんはそんな風に愚痴を繰り返しつつ立ち上がる。

そのまま歩き出したかと思うと、ブラウン管テレビの前で立ち止まった。


「マワリさん、一体何を…?」

僕は問いかける。


「DVDを流す。このカップ麺の不味さを、少しは誤魔化せるかも知れんからな。」

「ちょっとマワリさん…この村が停電してるって事を忘れてないですか?」

アレフさんが呆れたような口調で言う。


「…忘れる訳が無いだろう。"コレ"を使う。」


マワリさんは、テレビ台の戸棚から何かを取り出した。

ノートパソコンのような形をした、黒い機械だ…。


「ポータブルDVDプレイヤーだ。停電時にも使えるよう、乾電池式の物を用意してある。」

「おお…!」


マワリさんの用意周到さを前に、僕は無意識に拍手をしていた。


「それで、何を観るんですか?多分"いつもの"でしょうけど…。」

「分かっているじゃないかアレフ。"いつもの"だ。」


"いつもの"…?

2人の間には共通認識があるようだが、マワリさんが普段見ているDVDとは一体…?


そう考えている内に、マワリさんはプレイヤーの電源ボタンを押した。


カチッ、と乾いた音が鳴り、画面が青く点灯する。


【おことわり】


【このディスクは一般家庭における私的再生に用途を限って販売を許諾されています。

従って、著作・製作者の書面による事前の承認なしに、このディスクの複製、個人使用以外での再生などを行う事を一切禁じております。】


既視感のある警告画面が現れ、画面は再び暗転する。


微かなハム音だけが部屋に響き始めて数秒、画面が再び光り出した。



『来るなぁぁぁぁっ!これ以上近付いたら…このガキを撃っちまうぞ!』


…画面に映ったのは、見るからに悪党っぽい強面の男…そして銃を突きつけられる子供だった。


プレイヤーの問題なのか、それとも映像自体が古いのかは分からないが、画質はあまり良くない。


『そんな…マイケル…!』

母親らしき人物が、子供を不安気に見つめていた。


間も無くして、青い制服を着た警察官達がフレームインしてくる。


『くっ…あれじゃ手が出せない…!』

『銀行強盗め…卑劣な真似を!』


何だコレは…刑事ドラマか?


『…下がっていろ。俺が助ける。』


直後、渋い男性の声が響いた。

映り込んでいた警察官は次々と振り向き、その表情に驚きを浮かべる。


『あっ…貴方は…!』


警察の1人が声を上げた時、カメラが切り替わった。


映し出されたのは、ダンディな中年警察官。

その表情は、覚悟によって染め上げられていた。


『…変身。』


目を合わせた者を硬直させてしまいそうな、ナイフのように鋭い目つきをカメラに向けたまま、彼は呟いた。


その瞬間、彼の身体は光に包まれる。

同時に、勇ましいBGMが流れ始めた。


青い粒子のような物が渦を巻き、徐々に彼の身体へ纏わり付いていく。


間も無くして光が晴れる。

そこに立っていたのは、青いスーツにフルマスク、そしてマントを纏った男だった。


『"ジャスティ・ポリス"参上!』


全身青人間と化した彼は、高らかに叫ぶ。

これって、どう見ても…


「特撮…ですよね?」


「…正解。マワリさんが昔から大好きな"ジャスティ・ポリス"という特撮さ。20年以上前に放送終了しちゃったけどね。」

僕の言葉を補足するように、アレフさんは言った。


「話すなら小声で頼む。ここから良いシーンなんだ…。」

半ば画面に釘付けになりながら、マワリさんは囁く。



画面に目を戻すと、ジャスティ・ポリスは強盗の手から子供を取り戻していた。


母親らしき人物が歓喜の声を上げ、周囲の警察官達は強盗を取り押さえる。


『マイケル少年。もう安心していいからな。』


ジャスティ・ポリスは、優しい声で子供に語りかけた。



「…ここだけの話、マワリさんが子供の名前を呼ぶ時に"少年"と付けるのはコレの影響なんだ。」

アレフさんが、小声で僕に耳打ちする。


「そうだったんですね…!」

「僕もあと十数年若ければ、"アレフ少年"って呼ばれてたかも…なんてね。

そんな訳でマワリさん、子供には滅茶苦茶甘いんだよ。」


「…静かに。」

マワリさんは、眉を顰めながら人差し指を立てた。


「「すいません…」」

僕達は揃って頭を下げる。


会話の内容は…聞かれていなかったようだ。



…程無くして、スタッフロールが流れ始めた。

BGMと共に、マワリさんがカップ麺を啜る音が響く。


「…やはり不味いな。誤魔化しようのない程に…」

マワリさんは、流れるスタッフロールを目で追いながら呟いた。



To Be Continued

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