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理科部冒険記NEXT  作者: Taku-3
帰還編
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第四幕・謀略

「目的地はどちらでしょうか…」

先程、"プロミネンス"と呼ばれた青年に対し、老け顔のモンスターが問いかける。


「アビス爺か…。特に指定は受けていない。勇者一行に繋がる手掛かりを徹底的に探せとの事だ…。」

「ホッホッホッ…"ヴェンジェンス様"は放任主義ですなぁ。我々に対する信頼をひしひしと感じますのぉ…」


アビスと呼ばれた老爺が、整列しているモンスターの方へ振り向いた。


「皆の衆、"魔王様"は我々に対し深い信頼を置かれておる。…それこそ、貴様らのような有象無象も例に漏れず……だ。失敗は…許されぬぞ。 」


アビスは突如血相を変え、悪魔の如き形相でモンスター達を睨みつけた。


「「「はっ!!!」」」

怯まずに呼応するモンスター達を他所に、

プロミネンスはアビスに話しかける。

「爺、先日勇者一行が"偽の魔王城"に侵入した筈だ…。"偽の魔王"の生前の視覚、現地の残党の当時の視覚を投影しろ…。」

「ホッホッホッ…"影の魔人"である儂には容易い事ですとも。少々お待ち下され…。」

アビスがそう言うなり、暗い紫色のレンガの城壁に、ぼんやりと"影"像が浮かび上がる。


そこには、勇者との交渉に及ぶ偽の魔王、一瞬の隙に飛び込んできたタクシーにその身を粉砕され、跪くように崩れ、消滅する偽の魔王の姿があった。


「ホォォォオォォオォッ!?実に酷い!

馬鹿者め…!"魔王"の名を用いておきながらこの体たらくとは…魔王様の顔に泥を塗りおってェ!!!

儂が…直々に粛清してくれるわァ!!!」


突如として豹変し、怒号を発するアビスに対し、跪いたままのモンスター達は冷や汗を浮かべる。


「落ち着くのだ…アビス爺よ…。そいつは既に死んでいる。人類共も、今頃はその魔王が偽物であったと気づく頃であろう…。

お前が気にするように、魔王様の威厳に傷が付くことは無い…。」

「………。…そうですな…プロミネンス殿。

そして有象無象のカス共、取り乱して済まない。次の映像を投影するとしよう…。」


続いて映った影像。

そこには、大破したタクシーに乗り、走り去る勇者一行の姿があった。


「ふむ…あの方角は…。」

「フォージー市街地区ですな。

しかし先日の襲撃の際、勇者一行に繋がる手掛かりは…」

「あの大破したタクシーでは、移動できる距離に限りがあるだろう…。」

遮るようにプロミネンスが呟く。


「…メガバイト村。」

「…何です?プロミネンス殿?」

アビスがプロミネンスに問いかける。


「知らぬのか、爺。6年前、"無限回廊"…という名のハローワークの出現により、人類にとっての名所となった地だ…。」

「…無限回廊…?」

アビスは俯き、顎に拳を当て黙り込んだ。


「…どうした。爺。」

「ホッホッホッ…魔王様も人が悪い。

…恐らく、儂を試していたのでしょうな。」

「…?どういう事だ…。」

「プロミネンス殿、"貴方はまだ若い"。若さ故の情報力によって得られる事があるように、儂のように老いぼれているからこそ、点繋ぎのように見出せる事もあるのですよ…。」


「話が見えてこないぞ、爺。」

プロミネンスが怪訝そうに言う。


「なあに、すぐに…もとい、人類の文明が焦土と化した頃に分かる事ですとも…。」


「話を戻すとしましょう。プロミネンス殿。」

「……………ああ。」

腑に落ちない様子でプロミネンスは再度語り

始めた。


「勇者一行が乗っ取ったタクシー…恐らくあれは、付近のメガバイト村近郊で完全に故障、停止しているだろう…。

既に移動している可能性もあるが、"ウェルダー"含む襲撃隊からの報告が無い事からも考えにくい…。

…俺と爺、そして数名でメガバイト村付近を捜索する…。残りの者は再度王都襲撃に参加し、厄介な"王国騎士団"の殲滅に当たれ…。

王都にて勇者一行を発見したとしても、魔王様はお前達と視界を共有している…。

報告は不要だ…。

この策に異論は無いな。」

「「「はっ!!!」」」

「儂も異論無し、準備は出来ております。」


「では…作戦開始だ。」


跪いていたモンスターの軍団は皆立ち上がり、散開した。

巨大な陰謀は、全貌を誰にも知られないまま腰を上げて歩き始めた。


・ ・ ・


「着いたァァァァァァァァ!!!

92,374番カウンタァァァァァア!!!」

「ハッハッハ!良い汗かいたな!ヨシヒコ君!」

「ちなみに施設内では冷房がフル稼働しているので、汗を流した者は間違いなく風邪をひくと言われています。


別名、"病魔の回廊"です!」


ダサい…ダサ過ぎる………。

というか電気代だけで大赤字だろ……。

そう思ったけど、言わない事にした。

病院を併設したら儲かりそうとか一瞬思ったけど、絶対に言わない事にした。


「それで…9万職員さん、わざわざここまで来た理由って何なんですか…?」


疲れきった口調で尋ねた所、得られたのは予想外の返答だった。


「勇者様、先程正式な"勇者"に就職されましたよね?そこで、渡す物があるんです。」

そう言うなり、9万職員さんはカウンターの裏にある引き出しを開け、何かを取り出した。


「勇者様、これが"勇者の剣"です。」


To Be Continued

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