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理科部冒険記NEXT  作者: Taku-3
襲撃編
12/22

第十二幕・視線の先の現実

「こちらからだ…行くぞ。」

爆発音と共にプロミネンスが紫色の炎を纏い、急接近する。


「…勇者様ッ!!!」

9万職員さんが咄嗟に水色の障壁を張り、

プロミネンスを受け止める。


9万職員さんに感謝の言葉を述べる間もなく、僕と9万職員の顔の横をエネルギー弾がすり抜けた。


「…お前の相手はこの儂だ」

老爺の姿のモンスターが9万職員さんを睨みつけた、その瞬間。


ドゴォォォオォォオッ!!!


「うわっ!?」

「熱っ…!!!」

突如として、僕と9万職員さんの間に炎の壁が現れる。


「…勇者様ッ!大丈夫ですか!?」

炎の奥から声がする。


…僕と9万職員さんは、完全に分断されてしまった。


・ ・ ・


危うく燃えかけた背中を擦りつつ、顔を上げる。

そこには、右手を突き出して直立するプロミネンスが居る。


「…これで…確実にお前を始末できる…。」

プロミネンスが僕の目をジッと睨みつける。


「…あの魔導士の相手はアビスが担うと言っていたが…好都合だ。


この戦いに水を差す者は誰も居ない。

…もうお前は、誰の助けも得られない。」


バシュゥッ!!!


プロミネンスが話し終わるとほぼ同時に、

勇者の剣を発射する。


「コレで…どうだ…!」

剣身は空を切りながら、辺りの光を反射し、紫に輝きながら、プロミネンスの顔面目掛けて距離を縮めていく。


ゴオッ!

ジュゥゥゥウゥウウウウ………


「……は…?」

高速の一撃に対して平然とするプロミネンスに、僕は困惑の表情を隠せずに居た。


「…小細工は終わりか?」

そう言い放つプロミネンスの右手には、剣身が握られていた。

掴まれた剣身は、黒い煙と共に融け出している。


「…いや、まだだッ!剣身を再装填して…」

「いいや、終わりだ」

鍔のボタンに手をかける僕に、巨大な波のような炎が襲いかかる。


「ッぁぁあああぁあああ!!!

熱ッ…熱っつあぁぁああぁあああ!!!」


僕は醜い悲鳴を上げ、その場でのたうち回る。


(駄目だ…こんなの…!!!

前に戦ったモンスター達とはレベルが違うッ… 勝てるはずがッ…!!!)


「…お前は…勇者ではない」

僕の元に歩み寄りつつ、プロミネンスが言い放った。


続けてプロミネンスが指を鳴らすと共に、

僕に纏わりついていた炎が消える。

しかし、既に僕に動ける程の体力は残っていなかった。


「…あれ程挑発しておきながら、結局は口先だけで、俺に一撃も当てずにこの有様…。

偽の魔王も、倒したのはお前の力では無いのだろう。」

焼け焦げて倒れ込む僕を見下しながら、プロミネンスは続ける。

「お前は弱過ぎる。

2人の仲間が居なければ、お前はとうに死んでいた。その程度、大概察しがつく事だ。」


僕は力を振り絞り、顔を上げ、プロミネンスを睨み返す。


ガッ


そんな僕の頭を踏みつけながら、奴は続けた。

「諦めろ」

「……ッ…」

「お前に我々は倒せない。


…人類はもうじき滅ぶ。

端からお前は、魔王討伐など身の丈に合わない真似など止め、滅び行く運命を受け入れ…


…仄暗い洞窟の奥にでも逃げ、息を潜めて生涯を終えるのがお似合いだ…。」


…プロミネンスは僕の元から歩き出し、通り過ぎて行く。


「お前は精々、"蛮勇"といった所だ」

振り向きざまにそう言い残し、

プロミネンスは炎の壁の奥へと消えていった。


「…勇者…ではない……蛮勇……。」

…僕にはその後ろ姿を、ただ眺める事しか出来なかった。


To Be Continued

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