リリエスタへ
緑あふれる山の中を進んだトロッコはどんどん減速していき次第に線路の途切れた行き止まり、終着駅にたどり着いた。そこは自らのが虫と見間違えるほどの巨木の群れがそびえ立つ山の中だった。
その山の中には貴重な植物が、たくさん生えていた。見たこともないような植物、色とりどりの花が一面に咲き誇る、数ある未知の中でも一番目を引いたのは、人の一人が花びらの中に入れるほど、大きく、青色に光る華だった。
「あ~あー」
オレは不思議とその巨大な花の放つ妖しい輝きに惹かれしがみつくように見惚れ、言葉にならない声を発した。
「あのウクルハリナが気になるようですね。」
エルエリスがオレの様子に気付いたようで、そう口にした。ソレはオレの狙い通りだった。
ウルクハリナと言うのか…やっぱり喋れなくても声を出して見るもんだ。 オレは心のなかでそう実感した。
「やはり…あの花が人と共生関係にあることを何となくは、理解してるのよ。 これも多分この子の 『生態能力』によるものよ…。」
リンリンと打ち鳴らす音が地面から、なり続けている、ソレはまるで小さな鈴の雨が、降っているようだった。
トロッコが停車駅に辿り着き完全にその動きを止めると。エルエリスがそそくさに、トロッコのドアを開け外に出ると、そのままドアを開いた手をそのままにアウリンが通るまで待機した。
おそらくオレを抱きかかえたままのため両手が塞がっているアウリンのためだろう。 オレへの態度は気に食わないけど、おそらく本当はいいやつで、よく気が利く従者としては
優秀なやつなんだろう。
アウリンはトロッコを降りると、エルエリスは停車駅の門に取り付けられていた古びた操作盤の前にたち手をかざした。すると操作盤とかざされた手の上に紫色の光の文字がう
コレは実トロッコに乗る前にも出発地点の機械的で大きな駅でやっていた作業だ。
オレはさっきから鳴り響いく甲高い音が気になり、地面をみた。 するとそこには巨木から落ちた、緑の木の葉が、ヒラヒラと下へ落下していき地面についたとたん、その木の葉は青い光を放ち、鈴のような音を鳴らしていた。さっきから耳を刺激するうっとおしい音はこれかと、オレはようやく納得できた。
まぁ今はどうしても気になるが、夏のセミのようにそのうち気にはならなく鳴るだろう、まあと言っても、夏の思い出など、今は一つもないのだけれど。
…………。
…まだつかないのか。
さっきから彼女たちはオレを連れたまま、3時間以上も歩き続けている。いい加減、耳をつんざく木の葉音にも嫌気がさすし、何よりお腹が空いた。
「よしよ〜し、もう少しでつきますよ〜。」
アウリンはオレの様子に気がついたのか、そういてゆすりだした。 そうこうしてるうちに、ようやく森を抜けた。
その街は、人、建造物、どちらもまるで飴細工でできているような、透明感漂う幻想的な美しさがあった。中途半端に整備されたあぜ道は、機能的というより、景観重視で、建物の配置もまた同様であった。
ソレは哀れなことに、住民の排他的な思想
高慢で他の種族、外界の者たちを見下す『見栄』を表しているようで、 明らかに中途半端に外からの干渉を受け入れた文明の進み具合が見て取れた。
そんな街の明らかに、歓迎する気のない看板なしの門をアウリンは叩いた。