待っている間
家庭科室の使用許可が下り、駿はパンケーキの材料を購入しに、そして伽耶は自宅にあるシロップを取りに帰宅している間、裕子の仕切りで高史達は校外学習についての話を続けていた。
「ねえ丸山君、一度私達にだけでもどんなマジックをするか見せてもらってもいい?」
「あ、ごめん、今日はマジックに必要な道具を持ってきていないんだ」
「そうなの、でもあと5日だし、しかも明日明後日は土日で2日経つと後3日なのよね」
「なあ、高崎さん、なにも学校だけに拘る必要はないと思うけどな」
裕子が丸山のマジックの内容を確認したいと話すが、丸山は道具を持ってきておらず、今日が金曜日という事もあり、どうするか迷っていると高史より言葉が投げかけられた。
「奥野君、それってどういう意味?」
「月曜日まで待つのもありだと思うけどよ、どうせなら土日のどっちかで丸山ん家でマジックを見せてもらうのはどうだ?」
「それってつまり丸山君のお家に私達でお邪魔するって事?」
「なんで奥野がそれを提案するの?丸山はどう思っているわけ?」
高史の丸山の家でマジックを披露してもらうのがいいのではないかという提案に裕子が反応し、まりは丸山に確認する。
「マジックの道具がいろいろあって学校に持ってくるのも大変でさ、どうするか何度か奥野君と話していたし、僕も考えていたんだよ」
「丸山君もそう考えていたなら、私達が反対する理由はないわ。でも私達全員で丸山君のお家に押しかけていいのかしら?」
「僕は大丈夫だし、今日のうちに土曜か日曜どっちに来るかを決めて、何人来るかも言ってくれれば事前に親には話しておけるからさ」
「私は土日どっちでも行けるけど」
「俺もだ」
「あたしは土曜日は無理、遊ぶ約束もうしちゃったから」
それぞれが土日の予定について話していると、高史が最後に言葉を発する。
「じゃあ、駿と碧さんにも聞いてから行く日を決めようぜ、それでいいか丸山?」
「そうだね、なるべくみんなが来やすい日がいいね」
高史と丸山が話していると教室の扉が開いて、その先に一同が視線をやると伽耶が戻って来ていた。
「あ、お帰りかやっち、シロップ持ってこれた?」
「うん、また家庭科室で見せるね、それで暁君はまだなの?」
「ああ、駿はまだ帰ってこないな、あいつどこまで行ってるんだ?」
駿がまだ戻ってきていない事を知ると伽耶も席に座って駿の帰りを待つ事とし、しばらく待っていると今度は駿が戻ってきた。
「悪い、やっと買い終えた」
「おお戻ったか駿」
「暁君、私もシロップ持ってきたから」
「ねえねえ、早く家庭科室に行こうよ」
まりに促されて一同は家庭科室へと向かった。