下校時に
駿達の班のレクが決定し、解散して全員で帰路につこうとしている事に気付き、まりが全員に声をかける。
「なんか一斉に帰ろうとしているけど、せっかくだし今からみんなでカフェでも行く?」
「悪い、今日もスーパーとか見て回りたいんだ」
「ごめん雪野さん、私今日は早く帰らなくちゃいけないの」
「僕もマジックの練習したいし、帰るね」
駿達がまりの誘いを断り、不服そうな声をまりが出すとある事に気付く。
「ええーーー、みんな付き合い悪いなあーーー。ん?奥野あんたは用事とかないの?」
「おお、俺は暇だし、一緒に行ってもいいぜ」
「却下」
「何でだよ⁉これ行く空気だろう!」
まりのカフェに行く案にのった高史であったがまりより却下されて文句を言うとまりから返事が返ってくる。
「だって、あんたとカフェに2人きりでいったらデートと勘違いされそうじゃん、そんなのごめんだよ」
「そ、そこまで言うか……」
「どうせ、噂になるんだたら水原君みたいなイケメンがいいなあ」
水原という名前が出て疑問を感じた伽耶がまりに質問をする。
「ねえ雪野さん、水原君って男子ウチのクラスにはいないはずだよ、別のクラスの男子の事?」
「何言ってんのかやっち、あの水原大樹君をもしかして知らないの?」
「水原大樹⁉まさか⁉」
駿は聞き覚えがあるのか、水原大樹の名前に反応し、それに対してまりが返答する。
「そっか、暁は空手やっているから知っていたんだ、暁も空手とは少し遠いくらい爽やかだけど、水原君はさ、あの汗臭そうな男達の中でもすごい異彩を放っているんだよ」
「そ、そうなの?」
「ほら見てごらんよ、あたしさ中学の時に水原君の写真撮ったんだよ」
そう言ってまりは自分のスマートフォンの画像フォルダから水原の写真を伽耶に見せて伽耶も反応をする。
「これが水原君」
「ね、ねえカッコいいでしょう?」
「なあ雪野、それって盗撮になったりしねえのか?」
「試合中の写真を撮っただけだよ、もっとも自分の学校そっちのけで水原君を応援してたらみんなから総スカンだったけどね」
「お前なあ……」
水原大樹の話が続いている中、駿は改めてスーパー回りをする事を全員に告げる。
「じゃあ、俺そろそろスーパーを周ってくるから。それじゃあ」
「うん、また明日ね暁君」
そう言って駿がその場から去り、丸山が高史に尋ねる。
「ねえ、奥野君、暁君、水原君の話からまるで逃げるように帰ったような気がしたけど、何かあったの?」
「そこに気付いたか、水原はあいつが中学の空手大会の決勝で負けた相手だ」
水原大樹は駿が中学時代に空手で負けた相手であった。高史が語ろうとしている事とは?