滑って飛んで
ダンジョンプリズマーは脱出口を使用し、自室に戻ると変身を解除し駿の姿に戻る。
駿の姿に戻ると、気が抜けたように声を出す。
「はーーー、まさかバースト寺田と会うとはなーーーー、やっぱ有名人だけあってオーラが違うなーーー」
駿はダンジョン配信中、そしてダンジョンプリズマーの仮面のおかげである程度緊張は抑えられていたものの、内心緊張しっぱなしで有名人特有のオーラにあてられたようだ。
そんな気の抜けた駿だが、思い出したかのようにスマートフォンを取り出し、ダンジョンプリズマーの口調でホワイトペインターにメッセージを送る。
『実は今、探索が終わり、自室に戻ったのだが、配信を終えるとバースト寺田より10階層までたどり着いた配信者の名前を教えてもらった、君にもデータを送っておこう、こちらを参照したまえ……』
駿はダンジョンプリズマーの仮面のメモから配信者の名のデータを自身のスマートフォンに転送し、そのデータをホワイトペインターにも送る。
「とりあえず、これでいいか、さて寝るか」
駿はそのままベッドで眠り、翌朝を迎える。
そして起きてすぐにスマートフォンを確認するとホワイトペインターより返信があったのを確認し、中身を読んでみた。
『おはよう、ダンジョンプリズマー。今目覚めたばかりだからまだデータは確認できていないけど、ありがとう、また今日の配信でお話ししながら決めましょう』
ホワイトペインターより配信中にどうするか話し合おうというメッセージの返信があり、駿は朝食を摂り、登校する。
駿は教室に入室すると早速友人の高史より声をかけられる。
「おお、駿、昨日は【マスクドダンジョン】、バースト寺田と協力して戦っていたな」
「ああ、そうだな、初共闘なのにうまく連携していたな」
「そうそう、その後ダンジョンプリズマーがたまたま会ったバースト寺田に疑いをかけたのに滑っていたよな」
「あ、ああ、す、滑っていたのか……」
「あれ、駿は何か違う事を思ったのか?」
「あ、ああ、滑ったというより、飛ばされたって感じかな……」
「飛ばされた?よく分かんねえな」
実際は駿もバースト寺田に浮かんだ疑念に自信があり、それをあっさり否定され、鎧の話までされて、ちょっと滑った感覚はあったのだが、むしろ自分としては滑りすぎて飛んでしまった、そんな表現を自分がダンジョンプリズマーとは知られず、自分の心情を表す形としたのだ。
もちろん高史はそんな駿の心情を知る由もなかったのだ。