疲れてる月曜日
ホワイトペインターを生徒役に空手の講座配信を終えた駿はそのまま疲れ果ててベッドに倒れこむ。駿も他人に空手を指導するというのは初めてで慣れない事に神経を使った結果だ。
ベッドから起きて入浴の為に浴室に向かおうとするとスマートフォンが鳴り、ホワイトペインターからであったので内容を確認する。
『今日はありがとう、それからお疲れ様、講座用の動画だけど、とりあえず場面を編集しておくからあなたもまた確認しておいてね、それじゃあよろしく』
ホワイトペインターは今回の配信動画の場面を編集して空手の講座用の動画を作成するので駿にも確認をお願いし、それを受け駿はダンジョンプリズマーの口調で返信する。
『うむ、分かった。頼んだぞ』
返信を終えると駿はそのまま入浴し、入浴を終えてしばらくしてからベッドに入り就寝した。
翌朝の月曜日、2日間の休みだったが、駿にとっては全然休んだ気分になれなかったのだ、それもそのはずである。土曜日は空手の講座の為に改めて勉強しなおし、更に日曜日はダンジョン配信をしていたからだ。
そして疲れが残ったまま登校すると駿は教室で友人の高史に声をかけられる。
「おお、駿、昨日の【マスクドダンジョン】の配信観たか?」
「おお、観たぞ」
「やっぱりな、ダンジョンプリズマーが空手をホワイトペインターに教えているんだけどよ」
そう言って高史はダンジョンプリズマーとホワイトペインターが正拳突きをしている場面を見せて、ダンジョンプリズマー達の動きを見ながら駿に言い放つ。
「しかし、やっぱりダンジョンプリズマー、駿より動きのキレがいいよな、そこはさすが仮面のヒーローってとこだな、それに俺はあのクールなホワイトペインターがけなげに講座を受けている姿にグッと来たな」
駿はダンジョンプリズマーが自分より動きのキレがいいのは当たり前だろうと思っていた、そもそも自分がダンジョンプリズマーであり、仮面の力で身体能力が向上しているからなのだ。
「それで、駿はこの空手の講座を見てどう思ったよ?」
「え?どう思ったって?」
「決まってんだろ、また空手をやりたくなったとかないのか?」
「空手は元々おじいちゃんが俺に教えてくれて、中学では大会に出る為に部にも入ったけど、そこで俺の空手人生は終わったんだよ」
「じゃあ、土曜日に空手の本を買っていたのは?」
「あ、あああ、あれは言っただろう、マンガの絵が好きでさ……」
「ふーーーん、まあ、お前もあの動画を観ていたんだし、またやりたくなったらやればいいんじゃないのか」
空手の再開、それがする日が来るかは分からないが今はその空手が少なからずダンジョン配信に役立っていると考えるのであった。