疑惑が深まり
丸山は高史より駿が倒れた時に大きな音がしたという話を聞き、立位状態のまま倒れたのではと推測し、その話を聞いて高史は驚きを隠せないでいたが、バスはすぐに出発してバスが動き出して速度が落ち着いてから改めて話の続きを始めた。
「それで奥野君さっきの話の続きだけど、大きな音がしたら暁君が倒れていたって話だけどさ……」
「ああ、駿が立ったまんま倒れたって言ってたな、けどよう例えばベッドや椅子から急にふらついて倒れた場合でも大きな音ってしないか?」
「確かにそうなんだけど、暁君の両親共にすごく驚いたとも言ってなかったっけ?」
「ああ、確かにそう聞いたな」
高史は丸山の言う、立位状態のまま駿が倒れたという推測に椅子等から落ちた場合でも大きな音がするんじゃないかというが、駿の両親が音を聞いてただごとではないと感じたことも確認し、高史はそう聞いたと返答した。
「さすがに椅子やベッドからふらついて倒れた場合だと両親が驚くほどの音はしないと思うし、やっぱり暁君は立っているとき、もしくは立ち上がった時にふらついて倒れたのが自然じゃないかな」
「だけどよ俺達から見ても駿がそこまでになるようには見えなかったぞ、おふくろさんも熱はないような事を言ってたしよ」
「妙なのはそこなんだよ。仮に本当に暁君が過労で倒れるくらい疲れが溜まっていても病院でなにひとつ異常が発見されないなんて」
「どういうこった?病院がなにか見逃しているのか、まさか丸山……駿が仮病なんて言うんじゃないんだろうな」
丸山の多くの発言から高史は仮病なんじゃないかと言い放つが、それに対して丸山は返答をする。
「まさか、だいたい本当に仮病だったらせいぜい校外学習を休むくらいで入院まではいかないでしょう」
「ああ、そっか、そうなるとますます分からねえな……」
「そうだね……」
「丸山、駿の事はもういいのか?っつても俺も聞いたのはこれくらいだけどよ」
丸山がふと話を打ち切りそうだったので、高史は再度尋ねる。
「うん、もういいよありがとう」
「そっか、なんだかんだ丸山も駿を心配していたんだな」
丸山との会話を終えて高史が友人達との会話に戻るとふと、丸山はスマートフォンを取り出し、何かを確認するとその表情には何か感じるものがありそうであった。丸山は何を見たのか?




