倒れた場所
駿の入院した理由が過労であったと駿の親より聞いた担任教師の古賀は駿と校外学習が同じ班の高史達に心当たりはないかを尋ね、それぞれが古賀に話すと古賀はとりあえず5人を相談室から退出するよう促し、高史達は教室へと戻っていく。
「はあ、正直怒られるんじゃないかとヒヤヒヤしたけど、古賀先生が話の分かる先生で良かったよ」
「でも心配だな暁君、過労で倒れるって、相当何かを無理していたってことだから」
「そうね、でも校外学習の調理係が関係ないって事はやっぱり奥野君の言うように空手の練習のオーバーワークなのかしら?」
「……悪い、俺がもしかしたらって思っただけで、実際はどうなのか分かんねえんだ」
高史は実際に駿の様子は分からないが、可能性の問題として古賀に言ったことを打ち明けるとそれに対しまりが声をあげる。
「はあ?あんた適当な事言ったの?最悪じゃん」
「あ、あくまで可能性の問題だってよ!古賀先生もなんでもいいから言ってくれって言ってたじゃん」
「そこらへんはさすがに一度暁君に聞くと思うし、それで奥野君の言ったことが正しいかどうか分かるよ」
丸山の予想とは裏腹に5時間目の受け持ち授業が自分になく親が自宅にいる可能性を考慮し、今しかないとして駿の自宅に電話をかけていた。
「はい、暁です」
「暁さんのお宅ですね、私、梅々高校で駿君の担任を務めている古賀と申します」
「まあ!古賀先生!この度はご迷惑をおかけして申し訳ありません!」
「いえ、それであれから駿君の様子はいかがですか?」
古賀は高史達の話を聞くと早速駿の自宅に電話をかけ、まずは駿の様子について尋ねる。
「ええ、倒れたときは気を失っていたようでどうなるかと思いましたが、今は意識もはっきりしてますし、食欲も戻ってます」
「そうですか、それは何よりです。また駿君本人にもお話は聞きますが、お母さまから少しお話をうかがってもよろしいですか?」
「は、はい……」
「先ほど別の生徒に駿君の様子を聞いたのですが、空手の練習でオーバーワークしたんじゃないかという話がありましたが、お宅でその様子は見られましたか?」
「いえ、時々休みや学校から帰ったらランニングとかはしていたようですが」
「そうですか、あのあまり詳しくお話を聞いていなかったのですがまさかそのランニング後に倒れたんですか?」
「いえ、それがあの子、自分の部屋で倒れていたんです!」
「お部屋で倒れ……」
過労の診断で入院したという話を聞いた古賀ではあったが、まさかの自分の部屋で倒れていたという事実に古賀は驚きを隠せないでいた。