最近の様子
駿のクラスメイトであり校外学習で同じ班になったメンバーは担任教師の古賀より駿が過労で入院したと聞かされて驚きを隠せないでいた。
そして5人は古賀より最近の駿の様子で変わった事はなかったかと尋ねられるも心当たりがない為、言葉に詰まっていた。
「……ごめんなさい、急に言われてもなかなか思い出せないわよね、だけど過労で入院する生徒なんて先生も初めてだから、何か小さな事でもいいから思い当たることはないかな?」
「あの先生、少し違うかもしれませんが、暁君は調理係として結構張り切っていましたし、いろいろなスーパーを駆けずり回っていたようですし、それを少し暁君に投げすぎたのがもしかしたら……」
「暁君が調理係として積極的に動いていたのは先生も聞いていたし、話を聞けばみんなも暁君の負担軽減の為にいろいろしてたみたいじゃない」
「先生、俺、駿のやつが空手の本を買っていたのを前に見たんですよ、その時はごまかしていたけどもしかしたらあいつ空手の再始動を目指していたんじゃないかと思うんすよ」
裕子が駿は校外学習の調理係として張り切り、その役割を自分達が丸投げしたのではないかと話す中、高史が空手の本を購入していた事を古賀に話し、それに対して古賀が質問をする。
「それってどういう事なの?」
「まあ、あいつがごまかしたからそれ以上は追及しなかったんですけど、空手を再始動させるためにもしかしたら密かに練習を始めたんじゃないんですかね」
「ちょっと待ってよ奥野、暁って前に空手やっていたんでしょう?今更空手の練習で倒れたりするの?」
「雪野が大好きな水原君の活躍を聞いてまたあいつに勝ちたいとかで闘志が沸いてブランクを埋めるためにオーバーワークした可能性も否定できねえな」
「ちょっと!今あたしが水原君好きとかは関係ないでしょう!」
高史は駿が倒れた原因を空手の練習の再開に伴うオーバーワークが原因であるという話の中にまりが水原ファンであるという事を織り交ぜまるはうろたえて高史に抗議をする。
「ま、まあそれはともかく、奥野君は空手の練習で過労になったと思っているのね」
「はい、まあ俺の予測にすぎませんけど」
裕子と高史が心当たりを言う中、他の班員は心当たりがないのか特に言葉を発さず、その様子を見て古賀が言葉を発する。
「他にはなさそうね、まあ仕方ないわ、教えてくれてありがとう、退院したらまた先生から暁君に聞いてみるわ」
「もういいんですか?」
「ええ、もう戻らないと5時間目の授業でしょう」
とりあえず古賀の聞き取りは終わり、高史達は相談室をあとにした。




