馬鹿な8割、素敵な2割
警備員をしていると分かることがある、世の中の人間は8割が馬鹿なのだ。
例えば、通行止めで車を止めればかなりの割合でキレる、怒鳴る、嫌味をいう。実に無意味な行為だ。
いつも通る道が通れない不満、回り道のあるなしの不満、やる方に対しての不満…それらは絶対ある、あるがまともな人はそれを言わない。だって工事はしょうがない事だし、必要な事だし、回り道ある無しは地理的なものだし、やり方云々はインフラなら市の予算と警察が許可する道路使用許可の問題なのだ。怒鳴る意味はなく、無駄でしか無い。意見ならわかるのでそちらは現場監督に伝えるまでだ。
業者にも馬鹿は多い、第三者優先を理解しない自己中な職人が規制前の道路に平気で飛び出る。互いに罵声を掛け合い、警備員なぞは「おい!お前!」と呼びつけて…そんな現場には入りたくないのが人情なので日雇い警備員達は気軽に逃げ出す。そして何社回っても断られて貴重な従業員が誘導に立つのだ。
何より警備員は馬鹿ばかりだ。日銭で生きる生活を選ぶのは、他に働く当てがない屑の集まり…年金暮らしの年寄はそもそも体力もやる気もない。若者なんざ繋ぎ程度の気持ちでいる。中年は別の仕事で挫折した負け犬ばかり…だからそもそも、決められた立ち位置も理解してない。誘導の講義も講習も、寝てただけだから覚えていない。
馬鹿馬鹿なのだ世の中は、あぁ…なんて素晴らしい。馬鹿な私は安堵する、こんなに生きやすい世界はない。
惚け老人が、糞餓鬼が、ヒスババアが、ヤクザ者が、酔っ払いが、障得者が、破産者が、ホスト崩れが、漫画家志望が、芸人崩れが、ホームレスが、万引き犯が、無能社員が
ありとあらゆる人を見る
ありとあらゆる人の裏を見る
面白い面白い面白い面白い
そう思わなければやってゆけない
そして残りの2割が眩しい、金銭でなく地位でなく、年齢でなく性でなくだ。確かにまともな人達がいて、確かに素敵な人達がいる。
来る日も来る日も、ひたすらに過ぎゆく人を見て…馬鹿な話を仲間としつつ、素敵な人らの真似をする。
仲間の8割は老いさらばえてか干されて消えて、残り2割は転職をする。
本当に馬鹿なのは会社なのだ、こうして誰もがいなくなりやがては会社が立ち消える。