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D級冒険者の生活 -前編-

 ラーメン屋の帰りに異世界転移した時はガッツポーズをしたものだが、黄昏せまる見知らぬ街をフラフラしていたら猫耳娘と出会い、ときめいてるうちに警察…否、憲兵を呼ばれてある男のところへ連れていかれた。

 「正男」を名乗るその男が語るに、ここは異世界で間違いは無いらしい。元の世界を特定する為に出身地や首都の名前、戦争や地震の有無などを聞かれたが…結局戻る事は出来ないらしい。


「安心して欲しい。君の新生活は我々“賢人会”が全力でサポートする…何か、うん。食べたいものはないかい?」

「…ラーメン」


 元の世界に未練はない、仕事は糞だったし家族は屑だった。便利だったりカッコよかったりする物は沢山あれど…手にするほどの金を持ってなかった。しかし…一つあるとするならば、仕事帰りに時々食べた「ラーメン」を食べる事が出来ない事だろう。


「わかった、食券を渡すので3Fの食堂で注文するといい。新生活の説明と案内は食事後…またここに戻ってくれば良い。大丈夫、ここの職員はみんな言葉が通じるし…君の事情も分かっている。」

「あっ…はい!」


 食堂に行くと普通にラーメン屋があった。あとカレーもおでんもあった。うん…え?あれ…?本当に異世界なのかが不安になってくる。うん…あ…はい!がっつり定食で!ラーメンは醤油豚骨…油マシマシでからあげ4つ! 


……

…………


「さて、異世界生活の説明をしよう。まずは世界観と文化、注意点。そして君の衣食住と教育・訓練・職業選択についてだ。」

「は…はい!お願いします!」


 この世界は「パスタニア」と呼ばれる世界であり、元の世界とは根元から完全に違う時空に存在しているらしい…世界は4次元的に捉え図化すると細長いパスタのような存在であり、絡み合い過去から未来へと続き枝分かれしているとの事だ。


「この世界図は“パスタの木”と呼ばれている。卒業テストにも出るのでメモをするように」

「え?あっ…はい!?」


 さて絡み合うパスタはたまたま隣り合うパスタから時々エネルギーや魂を吸い上げるらしい。(所説有)

その条件やタイミングも解明されておらず、故に異世界人を元の世界に戻す方法というのは現状不可能となっている。


「…しかし、エルフ族の魔法には“召喚術”と呼べるものがある。時空間を越えるこの技術を応用すれば反転術式として“送り出し”も出来るかもしれない…希望は捨てないように!」

「え…エルフ!?よかった!ちゃんと異世界だった!」

「あー…うん、そう…なるよね…うん。……前提知識の説明は終了して、うん…続いていよいよ世界観と文化の説明だが…」


 この世界は中世ヨーロッパ風味な文化レベルに、モンスターが跋扈する。そして剣と魔法がものをいう…基本的にはイメージ通りの世界らしい。

 世界には人間中心の国として「塔の国トンガリー・騎士の国ドーナッツ王国・天使崇拝のメルシア共和国・遊戯国ショーギー、魔術大国コーランド」等があり、亜人国として「植物亜人の国=トマ王国、昆虫亜人国家ブンブン、獣馬人の国=タウロ王国、死者の国アーネミア、エルフの国=エルフの庭、鬼の国サンカク、影の国アザギル王国」等々…そして人も亜人も混在して暮らしているのが「サカナール王国、オーデン、オーパイ、竜宮王国」


「イメージ的に世界地図の西方が人の国、東が亜人の国…交易が発展している海辺の国々は多人種が多いイメージだね。」

「ほえー」

 冒険する空白が無いほど書き込まれた世界地図にいささか不安を感じる、いや…開拓が進んでいるという事は安定した世界だという事で…喜ぶべき事だとは思うのだが…うーん…ロマンが…


「…ちなみに、今いるここはサカナール王国!吸血鬼ウッドキル王が治める海辺の王国で多人種が行き交う活気ある街だよ!君はなかなか運が良い!」

「吸血鬼の国!?だ…大丈夫なんですか?」

「あぁ大丈夫!ウッドキルさんは庶民あがりだから!一昔前はフンドシ益荒男団で黒のフンドシ部隊を率いて町の治安維持やイベント警備をしていたような人だよ。奥さんに頭あがらないのも親近感湧く素敵なオオ様だよ」

「え…あー…はい!わかりました!」

分からん、意味不明な単語を連発されても全くわからん。黒いフンドシがどうとか言われても…王様が庶民上がりとか言われても…ん?益荒男がどうとか言ってた気がする。ん?

※詳しくは別小説「異世界カレー列伝」を参照してください。


……

…………

 かれこれ2時間ほどかけて、世界の大まかな説明を受けた。そしてその後また2時間ほどかけ、今後の身の振り方の説明を受けた。ようやくすると以下の通りだ。


①目の前の男、正男は「賢人会」という異世界人が発足した互助会のメンバーの人だという事。

②異世界人が発見されると賢人会を通して「異世界人国家オカムランド」へ移動し、そこで衣食住を保証された上で異世界で生きる上の教育と訓練を受けられる事

③その見返りとして元世界の知識、記憶のレポートを提出する義務がある事

④約半年の教育と訓練が終わった後は自由である事


「いやー僕としては、宗司さんにはカレーショップで働いてほしいな。この世界の従業員が悪いとは言わないけれど…やっぱり衛生観念とかね。基本的な所で店の指針を理解してくれる人が欲しいんだよ。」


「は…はい!覚えておきます!」

 半年後、宗司は冒険者への道を歩き出した。うん、色々実態は学んだけど…ね!せっかく異世界に来たんだから…どうせなら一回はチャレンジしないと!!



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