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第2話 〜優しきリアン〜

 


「いきなり依頼が入るなんてな。マスターも人使いがあらいっつーの」

 たわわな双丘の胸が顕になっている、赤色のビキニアーマー、腕と脚には銀色の防具、腰にはスカート型の防具を装着している。冒険者とは思えない軽装備だが、”水”から出てくる彼女の背中には170センチ弱の黒色の大剣が担がれていた。青色の乱雑に纏めた髪と、燃えるような炎色の瞳。

 ダンジョンの出口からは昼間でも沢山の人が出てきている。ヒューマン、エルフ、ドワーフ、亜人の憂い顔や厚顔やしたり顔。どんな成果を持ち帰ってたか表情を一瞥するだけで酒の肴になると、谷間から度数が高いお酒が入ったスキットルの蓋を開け、グビっと傾ける。

「くは〜! 一仕事終わったあとの酒はうめぇーな」

 水から出て、彼女は空を見上げる。ここは深いクレーターの底に湖が出来たような不可思議な構造。岩壁には螺旋状の坂が出来上がり、数々のお店が連なっている。武器屋、冒険者ギルド、治療所など。ダンジョンで疲れた冒険者が無料で使用できるシャワーや、娯楽スペースもある。彼女はお酒の旨みに頬を吊り上げながら、石畳の坂を上った頂上に辿り着き、ゼイウスの街並みが広がる。ダンジョンを中心に出来上がった迷宮都市、ゼイウス。彼女の小麦色の肌と露出はアマゾネスという種族を思い浮かべる。下劣な冒険者が彼女の肌と胸と偶に現れる股下を凝視し通り過ぎる。彼女は慣れた目と感じる。

「リアン」

「お? ルイ? ひっさしぶりだなぁ! 何週間ダンジョン潜ってんだよ? 到達階層は増やした……って顔ではないな」

 豪傑な笑顔から一点、ダンジョンの穴の縁。綺麗な花や木や水が流れている広場で、酒仲間に会い、怪訝そうな表情になる。

 リアンはとりま座って話すかと、広場の椅子に座る。

「酷い顔だ。どれくらい眠てぇねぇんだ?」

「3日ぐらいだ」

 ヒューマンの彼は才能値63の第2級冒険者。才能値とは人物の力を表す一種の表記。ダンジョンでは強力なモンスターを倒すほど、経験値得て、それぞれの才能値が上がっていく。20から一端の冒険者といわれ、80代になれば第1級と呼ばれ、名が世界に知れ渡たるほどの力ある冒険者だ。

「単刀直入にいう、何があった?」

「……闇ギルドに襲われた。仲間がゼイウスのどこかで助けを待ってるんだ。だけど……」

「誰にも言うな……か」

「ああ。どうしたらいいか分からなくて。その時、リアンがいて……」

 銀髪のウルフヘアが風で靡き、金色の双眸を歪める。凶暴そうな相貌だが、大人しめな彼は頭を抱え、今まで悩みを解き放たれたなかった苦しさから解放される。

「ルイのギルドは相当な実力なのに、相手は?」

「……ユラだ」

「ユラ……才能値103、【滅殺の魔女】かぁ。そりゃあ運が悪かったな」

 リアンは口を開けて哄笑する。そして、胸からスキットルを出して、これでも飲めってと酒を勧める。ルイは大のお酒好きで、この悩みを打ち消したいとありがとうとスキットルをあおった。

「リアンに打ち明けても意味がないって知ってるけど……君の笑顔を見たら心が軽くなったよ」

「そうだろ、そうだろ? 今は酒で忘れろ」

 ルイの背中を豪快に叩き、眦に涙を貯めるルイはこくっと顔をリアンの胸に埋める。

「寝てな。起きたら全部終わってるから」

 リアンはそっとルイをベンチに寝か、ベンチから立ち上がる。

「まずはユラが何処にいるかだよなぁ〜。まっユラの仲間に聞くのが1番いいだろ」

 リアンは身を翻し、何かを掴む。それはルイに狙撃された長弓の矢。リアンはひひひと不敵に笑い、狙撃されたポイント、鐘が備わる時計台の上。リアンはスキットルのお酒を飲み、体全体を使って投擲する。

「ふっ!」

 猛速の矢は時計台の手すりにいた狙撃手の肩を抉る。確かな手応いを感じたリアンは、酒に酔いつつ時計台へ向かった。


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