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第1話 〜助かった男〜



ギルドメンバー File.1


リアン・アルーコ


「た。たすけ、助けてくれ! 誰か、だれかあああァァァ!」

ダンジョン、5階層。岩窟と言うのかはたまた蟻の巣と言うべきか。四方八方に穴が開き、広ければ8メートルの横幅。狭ければ2メートルの横幅。5階層から10階層まで続く広大で、迷走するであろう場所。そこに似つかわしくないモンスター、マンティス。螳螂のような見た目だが、体長は2メートル、前足2本の鎌はダンジョン壁を豆腐のように切り裂く。真っ黒な体と、青い目。光源を失えば見えなくなるような色。そう、今のように。

「くるなっ! 来るんじゃねぇっ! くそっ、聞いてねぇぞ! あんなモンスターがいるなんて!」

5階層〜10階層には所々に、光る苔が生えている。眩しくもなく、温かみを感じられる光源。20センチの苔でも7メートル程の範囲を照らし、5階層〜10階層では目が暗転することはないが、それにも例外がある。光る苔はモンスター達の食料であり、所々暗い場所がある。モンスターが食べても一定時間経てばまた生えてくるが、 どうやらこの階層では飽食出来ないマンティスがいるらしい。

耳が生えた犬耳族の男性が瞠目する。道を曲がった先、そこは真っ暗で後ろにはガサガサとモンスターの音。青ざめ振り向くと、6メートル弱のマンティスが立っていた。呆気に取られた冒険者は、双眸を歪めてギリギリの所でマンティスの脚の鎌を避けた。

背後から爆発音。マンティスの攻撃が、背後の壁までも壊したと確信した。後は血眼になりながら暗闇へ遁走し、現在にいたる。彼の『才能』の桁では暗闇にまだ目が慣れることはない。


『ギビィ!!』


背後から、振り下ろされる鎌。音もなく接近したマンティス。間違いなく緊急事態(イレギュラー)な状況。男は死ぬはずだった。

「男が、ギャーギャーと泣きべそをかくな」

カンッと火花が散る。火花が冷えて、光を失う時、胸がざわつくような誘惑ある腰つきが瞬きと一緒に男性の瞳に映る。まるで女は暗闇の中でマンティスが見えてるかのように、大剣を振るう。無闇矢鱈ではない。その大剣はマンティスの体を真っ二つにする。モンスターの心臓、魔石が砕かれ黒色の灰となる。灰は舞うことも無く地面に落ちる。

「た、助かったぁ……」

音だけでも自分が助かったと安堵する男は、慌てて腰を上げて明かりがある場所へ歩むが、もうそこには人の気配はなかった。

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