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温泉の町  作者: くまくま
温泉の町
1/1

緑山異聞

大きな背中だねぇ…洗うのも骨ですよ。


多恵は不満口にそれでも楽し気におれの背を流す。洗うのは糠袋。

ここではシャボンの使用は禁止。唯一旅荘の台所で料理番が手洗いに

使うだけで、シャボンは海を汚すから、だそうだ。

町で使った水やお湯はやがて海に流れる。海からご馳走を頂くので

あればまず、皆が心しなくてはいけないと言うことらしい。


ーどうしても痒い所があったら台所から洗粉持ってきますよ。鍋の

 焦げ付きなど一拭きで取ると聞きます

「冗談じゃねぇ、赤剥けちまわぁ! 」

じっさいこの糠袋とやわかいお湯で十分気持ちがいい。


ー傷だらけだ…

「ああ。いろいろあったからな」

ーおんなを巻き込んでの刃傷沙汰かえ?

「そいつも2ツ3ツあるかな…うわ! 冷てぇ! 」水を掛けられた。

ーさっばりしなんしたか とけらけらと笑った。


ーあっちのが腕山でこっちのが仏の座。仏の座の下に歓楽街があるよ

おれと多恵は湯に浸かりながら窓の外を見ている。

檜のいい香りに酔いそうになる。


お湯は緩く何時まででも浸かっていられそうだ。

多恵のからだは肩からお乳にかけてふっくら、少しあぶらののった

腰から豊かな尻。おれに寄りかかるようにして足をかかている。

そっと手を伸ばしてお乳に触る。豊かだ。大きな乳首をころころと

弄うと

ー駄目ですよ、こんな湯船でいちゃこらしてたら上気せちまいますよ


多恵の肩からお湯が玉となって垂れる。

湯気が風に煽られ飛ばされる。


「…出来た」と呟いた。「今お前の顔が出来た」

ーえ。わっちの顔? 本当に? 驚いてように振り向く。

「ああ。そうそう、この顔だ。もうちょっと垂れ目でもよかったかなぁ」

ーちょっとお前さま。早く上がりましょ! ここには鏡がないんです!

「まぁまぁ慌てなさんな。どれ、こっちぃ向きな」


おずおずと顔をあげる。多恵か。我ながら良い名を付けたもんだ。

「いい顔だ。多恵の顔だ」

と言うや

ーわっちは先に上がります!  堪らずように湯から上がっていく。

白桃のような丸くて白い尻が湯気の向こうに消えた。


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