夜の鏃
白銀の夜に矢が一本
体を貫いて血を流す
鉄色の薔薇を咲かせては
夜に薔薇を割かせる
風に棚引く旗は
狂い咲く薔薇のように
光を照らして夜を咲かす
旗から流れる冷たい煙は
私の鼻を通り意識を起こす
この香りは最近よく鼻を通る
鉄を土に咲かせた薔薇の香り
鳥の羽を燃やして肥料にした香り
鉄を割った時の燃滓は
絵を描くときの具材にしてしまえ
鳥の死骸は解剖して
肉は食べて皮は川に流してしまえ
もし本当にその中で夜が訪れるなら
私はそれこそ矢となって
夜を灯す蝋燭になろう