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怪我の治療

 手を近づけ、治療を開始することを自分に告げる。

「まず、転移魔法で矢を母親の足から手元に。」

転移魔法。この世界では人々は当たり前に魔法を使うが、この魔法だけは滅多に使える人がいない。そんな魔法。使い方なんて知らないはずなのに、私は自然と使い方がわかった。

「転移。」

左手で矢に触れながらそう唱えると、一瞬で右手の上に矢が現れた。もう、その人狼の足に矢は刺さっていなかった。

「次に、回復魔法。レベル1だから、一回じゃたいして治らない。何回も、ゆっくり繰り返して。」

私は心の中でわかった、と返事をすると、傷口に手をかざした。治れ、治れと念じるごとに傷口は淡く光り、少しずつ塞がっていった。

 やった。これで完全に塞がったはず。……あれ?なんか、ねむ……い……。



「ちゃん!お姉ちゃん!カトレアお姉ちゃん!」

男の子の声に起こされる。あれ、わたし、どうしてこんなところで眠っているんだろう?

「大丈夫?お姉ちゃん。急に倒れちゃって……。」

え、どうしてだろう?

「痛っ。……ん?」

頭がズキズキと痛む。おそらく、倒れるときに頭を軽く打ったのだろう。

治れ、と、自分の頭に意識を向けると、痛みはすぐにひいていった。一回で直ったところを見ると、どうやらそこまで重症ではなかったようだ。

いやあ、よかったよかった。

「多分、魔力切れね。カトレアは魔力は多いけれど、あそこまで何回も魔法を使えば誰だって倒れちゃうわ。……頑張ったね、カトレア。」

ありがとう、ゼラ。でも、当然のことをしただけだから。怪我をして困っている人がいたら助けるのはなにもおかしいことではないでしょう?

ゼラに返事をすると、人狼たちの方へ目を向ける。

「大丈夫ですか?」

女の人は、人間になった男の子をあやしていて、私が起きたことに気がつかなかったらしい。

「まあ、起きたんですね!ええ、大丈夫です。先ほどは治療をしていただき、ありがとうございました。治療魔法が使える方なんですね。」

全部使えるなんて言えない……。

「助かりました。」

そう言う親子の顔は輝いて見えた。父親がいなくても、きっと2人は幸せなのだろう。もちろん、父親がいた方がもっと幸せだっただろうけど。

「ありがとうございました。……カトレアさんは、どこに向かっていらっしゃるのですか?」

首を傾げながら尋ねてくる。私は

「獣人国に。」

とだけ答えた。すると、次に瞬きをした瞬間に2人は狼の姿になっていて。

「では、私たちの家は獣人国にあるので、ご案内させていただきましょう。さあ、どうぞお乗り下さい。」

今度は、自分からゆっくりと人狼の母親の背中に乗った。ああ、やっぱりグラグラする……。

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