神の加護の効果①
さて、そろそろまた歩き始めなければ。
ゼラ、このまま歩き始めればどこに着くの?
今自分がどのあたりにいるのかもわからないまま、ゼラに尋ねる。
「地図、見る?」
ゼラがそう言った次の瞬間には、目の前に大きな世界地図が表示されていた。試しに触ってみると、スルッとすり抜ける。ゼラ曰く、わたしにしか見えないらしい。
「赤いのが現在地だよ。」
ピコピコと、赤い丸が光っている。今わたしがいるのは、どうやら人間の国、人間国と獣人の国、獣人国の間の大森林にいるらしい。北に獣人国、南に人間国がある。現在地は獣人国の近くで、もう少し歩けば獣人国に着くだろう。
「よし、獣人国に行ってみるか。」
この世界、パスポートとかいるのかな?まあ、とにかく行ってみよう。
そう思って足を動かそうとしたとき、ゼラが私に待ったをかけた。
「先に魔物をテイムして行こうよ。」
ゼラが言うには、戦力を確保していったほうがいいと言うのだ。確かにこの先何が起こるかはわからないのだから、戦力があることに越したことはないだろう。
「何がテイムできるの?」
「魔素でできている物なら何でも。魔物でも、魔族でも、魔王でも。」
魔王でも!?魔王って、魔大陸を統べる王様でしょう?そんな人をテイムできないよ。
「まあ、相手がいいよって言わないとテイムできないけどね。」
一応相手の意思は関係してくるわけだ。それを聞いてなんかちょっと安心したわ……。
「で、何をテイムするの?この大森林にも多少はいるでしょ?」
この世界は、魔素で満ちている。魔物は魔素のあるところに湧くから、世界中どこにでも魔物はいるのだ。魔大陸に魔王がいるのは、魔素がとても濃いところだから心地がいいし、魔物もよく湧くかららしい。
この大森林も魔大陸ほどでないが魔素が濃いので、それなりの魔物はいるだろう。
とにかく、と、魔物を探そうとしたとき、私は木の根っこに足を引っ掛けて。
「痛っ。」
こけてしまった。膝からは、血が出ている。
「こんな時に回復魔法が使えたらなあ。」
回復魔法が使えるのは聖女の家計だけだ。乙女ゲームの主人公であった私の妹は、もちろんその聖女であったわけで。昔から怪我をしたらよく治してもらってたなあ。そんなことを懐かしく思い出していたら、
「使えるよ。」
と、ゼラは当たり前のように言った。
「神の加護のおかげで、全ての魔法が使えるようになっているよ。まあ、レベル1だから、もっとレベルを上げておいたほうがいいと思うけれど。」
この世界には、生まれた時には自分の使える魔法というものは決まっていて、それはレベルが十段階存在する。レベルが上がるほど、より強い効果が現れると言うわけだ。使える魔法は遺伝子とともに受け継がれていくのだが、大抵は父親と同じものが使えるようになることが多い。まあ、私みたいに使えない、とか、例外はあるけど。
「え、何それ。」
今まで使えなかったのに。いきなり……?……やったあ!チーと来たあ!




