相棒
何度見ても信じられず、思わず足を止め凝視する。
「魔物使い……だよね?」
と、とにかく、他のところにも目を向けてみよう。
「スキルスキル……あ、あった。鑑定。おっ、ラッキー。」
鑑定スキルは持っていると便利だ。物の良し悪しがわかるし、他の人のステータスを見ることもできる。まあ、本人の許可が必要だけどね。
「他にはっと……え、神の加護?」
神から加護があることにも驚きだけれど、どうしてスキルの欄に?いつもなら、状態のところに書いてあるゲームだったのになあ。
「それは、マスターの能力に直結するからです。」
……ん?誰か、女の人の声が頭の中に直接響いてくる。16歳の私とおんなじくらいの若さの声だ。あなたは、何者?と、試しに話しかけてみると、心の中で思ったことも通じるらしく、
「はい。神の加護です。」
と答えた。頭の中に直接……なんとも心地の悪い物だ。
神の加護?君はなんなの?もう一度尋ねる。
「神の加護により生み出された意識体です。体は有しませんが、世界の全ての知識を持って、マスターにお仕えいたします。」
神の加護は淡々とそう言う。
もっと仲良く離れないのだろうか?こんな森の中に、私たちは2人ぼっちなのだから。
「え、いいのですか?」
そうだよ。もっと友達みたいな関係になりたいな。敬語も、マスターもなしでさ。
「……ありがとう。」
意識体だから、泣けないはずなのに。なんとなく、泣いているんだなあ、と思った。でも、声を聞く限り喜んでくれているのは確かだろう。
「じゃあ、よろしくね。私はカトレア。カトレアって呼んでね。……あなたは?」
すると、神の加護は少ししょんぼりとした声で言った。
「私には名前がないの……。」
名前がないだなんて。神様はどうして名前をつけなかったのだろうか?
「じゃあ、そうねえ。ゼラニウム、で、ゼラなんてどう?真の友情の花言葉にかけて、ずっと友達でいよう?」
私なんかが名前をつけてもよかったのだろうか?
「ありがとう!私、名前が欲しいなあっ思ってたの!」
ゼラはそう言って歓喜の声を上げた。
よっぽど喜んでくれたらしく、何度も何度もゼラ、ゼラ、と呟きながらふふふと笑っていた。
「喜んでもらえて嬉しいわ。よろしくね、ゼラ。」
「よろしく、カトレア。」
私たちはふふふと笑い合った。よろしくね、わたしの相棒。




