魔物使い!?
兵士たちに腕を引っ張られ、馬車に押し込まれる。いったいどこに連れて行かれるのやら。
不安はあるが、ここまできてしまった以上仕方がない。
それにしても、私、さっき自分のこと悪役令嬢って……。
昔から、違和感はよく抱いていた。ニッポンっていう国名を知っていたり、生まれてから一度も習ったり聞いたりしていない知識も知っていることがあるし……。私って、もしかしなくても……変?
「おら、着いたぞ!」
先ほどの弟に続いて、伯爵令嬢の私に向かって無礼な……とは思うのだが、男の人の力に敵うほど私は強くない。
突き飛ばされ、どさっと尻餅をつく。
「いたっ。」
その瞬間、私の頭の中を誰かの記憶がめぐった。
「ゆーちゃん。私の可愛い娘。」
「幸。父さんに何かようかい?」
「幸ちゃん!あそぼっ!」「幸ちゃん。一緒に勉強しない?」
「ゆーちゃん。」
「幸。」
「幸ちゃん。」
これは、誰の記憶だ?……ワタシは誰?
「おいっ。どうしたんだ?」
肩をグイッと掴まれ、やっと何処かから帰ってきたような感覚に襲われた。
「……なんでもありませんわ。」
私は顔を上げることなく、呟くようにそういった。私は、笑っていた。
ああ、そういうことだったのかって。
私は誰か分かった今、迷いはなかった。
生きる。生きて、あいつらを見返してやる!私は幸。いや、悪役令嬢カトレアですわ!
などと、カッコつけている暇などなく。森の中に下された私。馬車はもう行ってしまった。ここはいったいどこなのだろう?
とにかく歩いて安全な場所にいかなければ、と、迷いながらも馬車が帰っていった方向とは反対に向かって歩き始める。
この世界は、おそらくゲームの中の世界。それも、前世の私、幸がプレイしていた恋愛ゲームの世界の中なのだろう。おそらく私は、覚えてはいないけれど、幸としての人生をどこかで終え、この世界に転生したのだろう。登場人物の名前が全員一致しているから、ここがゲームの世界だというのは間違い無いだろう。この世界、ゲームは戦闘をしながら恋愛を進めていくというゲームで、レベルを上げておかないと先に進めない、そんなゲームだったはず。
まあ、そのことは私には関係ないとして、もしここが本当にゲームの中なら、ステータス画面とかが出るはず。……よし、やってみよう。
「ステータス!」
バッと、目の前に緑色の画面が現れる。見慣れた画面だ。
「えーと、カトレア。……え、職業が……。」
商業と書かれたその欄。そこには、信じられないことが書かれていた。
「魔物使い!?」
え、えー!どういうこと!?




