表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/26

リジア王女

 アスターの部屋を出て、リジアちゃんの部屋に向かう。2人の表情には、緊張の色が現れていた。

「リジアちゃんって、どんな子なの?」

名前を呼んだだけで、少しマリーの肩がびくっとする。マリーにとって、リジアちゃんはそれほどに恐ろしい存在なのだろうか?

「ここです、姉上。」

ドアの前には、アスターの部屋とは違って護衛はいなかった。

アスターはにっこり笑ってはいるものの、その手には汗をかいていた。

自分が王になりたくて、その力を証明するためにマリーを召喚した王女リジア。我儘なのは確かなのだろうけれど、そんなに怯えるほどの性格の持ち主なのか?

マリーが震える手でドアに向かって手を伸ばす。その手を、アスターが手で包み込むようにして止めた。

「無理しなくていい。私が開けよう。」

その声は真剣だった。

「リジア?はいるよ。」

アスターが中に向かって声をかけるも、返事は返ってこない。

「はいるよ。」

もう一度声をかけてから、ドアノブに手をかけ、アスターはゆっくりとそのドア開ける。

 開けた瞬間、気持ち悪くなるほど強い花の匂いが鼻に飛び込んできた。

「いらっしゃあい。新しいお姉様?」

コツ、コツと足音が近づいてくる。マリーはアスターの後ろで小さく縮こまってしまった。アスターも、マリーを守るかのように片腕を広げている。

「はじめまして。ローズと申します。」

動きたくないという足を無理やり動かし、一歩前に出る。

「まあ、お姉様。お姉様なのだから、敬語なんて使わなくて構いませんのよ?どうぞ、リジアとお呼びくださいな。」

奥から出てきたリジアは、美しい顔立ちをしていた。顔だけではない。一つ一つの動きも、身につけているものまで美しい。2人が何をそんなに恐れているのかが、わからなかった。

一歩、一歩と近づいていく。

「ダメです、姉上!」

そんな言葉、気にもならなかった。また、一歩、と近づいていく。

ふっと、体重を感じなくなった。浮いている?いや、違う。腕を引っ張られたのだ、リジアに。

ガクンと落ちていく体重を、リジアに支えられる。

「まあ、お姉様!私の親友に雰囲気がそっくり!」

私の肩を支えながら、私のほおに触れる。

「殺しちゃいたいくらい、だあいすき、お姉様。」

2人の言っていたことが、やっと分かった。この子の中には、根拠なんかで言い表せない、恐ろしさが眠っている。なぜ、なんでわからない。ただただ、恐ろしい。一体、リジアは……。

「お、ね、え、さーまっ!」

何、者……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ