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王様との対面

「お、お姫様って、この国の?」

「は、はい……。」

マリーちゃんは気まずそうにうなずいた。どうやら本当のことらしい。

「そのお姫様は、自分が女王になられたいようで。お兄様がいらっしゃるので、可能性は低いのですが……。」

そんな理由で呼び出されてしまったマリーちゃんだが、王様が責任を取ろうというので、今は城に身を置いているらしい。

「すごい人生を送ってるんだね、マリーちゃんは。」

思わず口からぽろっと溢れでる。慰めてあげたいのに、言葉が見つからない。どうやって慰めたらいいのか、私にはわからなかった。

「すみません。気を使わせてしまいましたか?」

そう言って笑うマリーちゃんの笑顔は、どこか悲しそうだった。


 さっきからうつろうつろしていたマリーちゃん。ついに眠ってしまったようだ。座ったままでは心地が悪いだろうと思って、横に寝かせる。

「そろそろ着きますよー。」

「わっ。いま、マリーちゃん寝てるんで……。」

「あっ。すみません。」

御者がもうすぐ城につくことを私たちに告げる。手汗がじんわり滲む。手が汗でキラキラ光り始めたところで、緊張していることに気がついた。王子の婚約者として、よく人間国の王宮にはいっていたので、慣れているつもりだったのだが、初めての場所はやはり緊張してしまうようだ。

「はあ……。」

ため息をつきながらポケットから取り出したハンカチで汗を拭う。

「緊張なさっているんですか?」

マリーちゃんの声がしてマリーちゃんの方を向くと、目を擦りながら起きがってきた。

「寝ちゃってすみません。」

ふわああ、と、小さくあくびをしながら謝ってくる。子供なんだから、疲れて当たり前だ。

「大丈夫だよ。もうつくってさ。」

私がそういうと、マリーちゃんは窓から外を覗き、

「そうみたいですね。」

と言った。その顔に、笑顔はなかった。

「大丈夫?」

「……大丈夫、です。」

今度は笑っていた。苦しそうな笑顔で。


 ピタッと、馬車が止まる。どうやら城についたようだ。執事らしき獣人に手を貸してもらいながら馬車を降りる。

「王様がお会いしたいそうです。」

猫のような目をした獣人のメイドが横にいる獅子のような獣人に手を向けた。

「王様!」

「えっ。」

王様ってそんな簡単に会える人だっけ?

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