目が覚めた少女
女の子の眠るベッドの横の椅子に腰掛け、女の子が目を覚ますのを待った。金色に輝く髪を持った女の子は、静かに息をしていた。彼女が同じ地球人なら、外国人だろうか?
「早く起きないかなあ。」
本当に私と同じ異世界人なら、同郷なら、話してみたいことがたくさんある。どうやってここで生きてきたのか、なぜ追われていたのか。同郷の人なら、きっと話しやすいだろう。
「あ、あのお。」
声をかけられ、ぱっと顔を上げる。すると、女の子がゆっくり上半身を起こしながら私を見ていた。
「目が覚めたのね!良かった。」
女の子の手を握る。私はワクワクして今にも飛び跳ねそうな気持ちを抑えながら、立ち上がった。
「今、この家の人に伝えてくるわね。大丈夫。ここは安全よ。」
わたしは女の子にそう伝えると、部屋を後にした。
「こんにちは、はじめまして!」
「こんにちは。目が覚めたのね。」
人狼の男の子が元気に駆け寄ると、同じくらいの子供がいて安心したのか、女の子も
「こんにちは。」
といって安心したように笑った。
「お名前を伺っても?」
私が優しく尋ねると、女の子は
「マリーです。」
と答えてくれた。マリーちゃんか。可愛い名前だ。
「マリーちゃんって、もしかして地球生まれ?」
マリーちゃんが驚いた顔になる。そういう顔になるっていうことは、やっぱりマリーちゃんは……。
「お姉さんもですか!?」
「やっぱり!?」
私たちは手を取り合って喜んだ。マリーちゃんに至っては、ベッドの上でぴょんぴょんと飛び跳ねている。
やったあ!やっぱり、同郷の、仲間だったんだ!
「え、なになに?」
「どういうことですか?」
少しして、喜びは鎮まった頃。マリーちゃんは少しほおを赤らめていた。
「お恥ずかしい姿をお見せしました……。」
いやいや、まだ子供なんだから、と反論しそうになるが、マリーちゃんは大人になろうと、成長しようしようとしている途中なのかもしれない。先ほどの行動は見た目通りの10歳くらいの子供そのものだったが、今はもう少し大人に見えた。
「確かに、私は地球から召喚された、勇者です。」
私はなんだか嬉しい気持ちで満たされていた。今までは、どこかおかしな世界に迷い込んで一人ぼっちのような感覚に陥っていたが、今はもう違う。仲間がいるのだ。同じ地球出身という仲間が。
「お姉さんは?」
にっこり笑って私を見てくるその女の子は、愛らしく見えた。
……今は、それどころではないな。
「私はローズ。この世界に転生者としてきたの。」
胸に手を当てながらそう答える。マリーちゃんは
「へえ。召喚された私とは違うんですね。」
といって、また、笑った。