プロローグ
神武暦2574年、この島国からみて西の大陸で大きな戦いがあった。
それは一つの事件から始まり各国の思惑が重なり合った結果数多くの国を巻き込む大戦争へと発展する。
その戦争はまさに血で血を洗う戦いとなった。
戦場になる前のこの町は外で子供たちが遊びまわりにぎやな喧噪に包まれていた。しかしここが戦場になると町全体が瓦礫で埋め尽くされ道端には倒れた敵味方の兵士の死体が入り乱れ子供たちの声の代わりに敵味方の銃声の喧噪が広がっていた。
戦場になる前は草原だったその場所は今では血と鉄と火薬が入り混じった泥に変わりそこには塹壕と鉄条網が至る所に張り巡らされいた。誰かがここは草原だったと言っても誰も信じないであろう。
多くの人々は戦争はすぐに終わるだろうと楽観視していた。しかしその予想は裏切られ戦争は5年続いた。
その結果戦争に参加したすべての国は国家総力戦を強いられることになりそれまでの戦争とは比較にはならないほどの物的資源、人的資源を失った。
戦争は結果的に総力戦に耐え切れなかったとある国が降伏して終戦となった。
5年に及ぶその戦争で敵味方延べ900万人以上が死傷し、戦傷者は2000万以上に上った。
そしてこの戦争はこう呼ばれた「全滅戦争」と。
戦争が終わった直後皆口々にこういった。「もう戦争はたくさんだ、戦争はやりたくない」と。
しかし、戦争に参加したある将軍は言った。「たかだか20年の平和だ」と
神武暦2594年かの将軍は世界全体の状況を見て言ったのか、西の大陸に向けて言ったのはか定かではないが20年後「全滅戦争」にはほとんど関りがなかった、西の大陸からみて東に位置する海に囲まれた島国に大きな戦争の火種が燻り始めていた…