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adventure~異界融合~  作者: ふゆねこ
1/3

異界融合

特に構想とか考えず、思いついたネタをバンバン書いて生きます。

なるべく矛盾が生まれないように努力しますが、あまりに専門的な内容や、作者の勉強不足めんどくさいのためのぶっ飛んだ設定は許して下さい。

アドベンチャープロローグ


2xxx年11月1日。

新たな世界が誕生した。

とある世界的大富豪が全財産の殆どを注ぎ込んで作られたゲーム。

その名は『adventure』。

プレイヤーは脊椎端子(18歳以上の男女に施すことが許されている施術。神経を頚椎で体内と体外に切り替えることができる端子。接続中は最低限の信号しか体内に送られない為、首から下は動かせない。なお、機器によっては顔面を動かすことも出来ないものもある。)により、五感全てでゲームを体感できる。もちろん、指先から舌の全てまで動かすことができ、髪の感覚まである。

その五感全てで、新たな世界を冒険するのだ。


ピンポーン


呼び鈴が鳴った。

俺の胸も高鳴る。

俺は準備しておいた印鑑を手に取り、玄関を開けた。


「白銀運送でーす。ここにハンコお願いします。」


受け取りを済ませ、箱を開ける。

パッケージには猟銃を背負い、腰には鉈、右手に手斧を持った男が背を向け立っている。

男の見つめる先には樹海が地平線まで広がっており、古代の建築物跡のようなものや、街道や、村のようなものがある。


『メールが届きました』


携帯が鳴った。

確認してみると、高校の友人〈アキラ〉からだった。


『こっちはもう届いたから先にやってる。idはいつもと同じだから、インしたらメールよろしく。』


返信・・・はしなくていいか。どうせすぐ会うだろうし。


パッケージを開けると、中には電子レンジ大の機会が入っており、接続用端子が正面に着いていた。

俺は掃除機のコードのように端子を伸ばし、脊椎端子に接続し、横になった。


そして、電源を入れーーーーーーーー



xxxxxxxxxxxxxx



一章 はじまり


『名前を入力して下さい。』


はじめに意識がはっきりしたのは、その声を聞いた瞬間だった。

電源を入れた瞬間、俺の意識はどこかへ吹っ飛んだ。

フルダイブの経験は初めてだったので、面を食らったが、そんなものは一気に消し飛んだ。


青い筒状の空間。

周囲には様々なウィンドウが開かれ、それがめまぐるしく動き回っている。

処理をしているのか、はたまたそういう背景なのか。

だがそんなことはどうでもいい。

足の感覚があるのだ。

つま先で地面を叩くと、肉を伝い骨へ、骨を伝い脳へと振動が伝わってくる。

この非現実的で非効率的な空間でなければ、現実としか認識できない。


『名前を入力して下さい。』


再び声が聞こえた。


「リョウ。」


『登録しました。リョウ様。種族、パラメータ、キャラクターメイキングをして下さい。』


この辺りは発売前から決めていた。

だからスンナリと返答できた。


リョウ「種族は人間。パラメータとキャラメイクはこれで頼む。」


パラメータとキャラクターのイメージを想像し、送った。


『承りました。こちらでよろしいですか?』


映し出されたパラメータとキャラクターは俺の意思どうりだった。

偶に雑念が入ってものすごい事になるから、練習しててよかったぜ。


リョウ「問題ない。」


『承りました。それではリョウ様、adventureの世界を心ゆくまでご堪能下さい。』


瞬間、光に包まれた。

眩しくはない。だが何も見えない。

数秒すると変化があった。草の匂いだ。それに人の声。やがて光が消える。


光が完全に晴れると、そこには俺と似たような格好をした人達で溢れかえっていた。


『メールが届きました。左手首の時計を確認下さい。』


不意に音声が鳴る。

見ると、確かに時計をしていた。おそらくこれがデバイスなのだろう。

試しに盤面を押してみると、宙にメニュー画面が浮かび上がった。

手紙、受け取り、依頼、情報、地図、実績、フレンド、設定、etc・・・。

色々と見てみたい項目はあったが、とりあえず手紙の項目をタップする。


『adventureへようこそ。あなたの登録番号は156238441になります。初心者サービスにパートナーと武器を支給させて頂きます。それでは、adventureを心ゆくまでご堪能下さい。

運営一同より。』


リョウ「初回の支給品か。どれどれ、パートナーは・・・狼!!カッコいいじゃん!んで、武器は・・・大剣!!いいねぇ!」


テンション上がるぜ。

受け取りを押すと、どこから来たのか狼がこちらに向かって走ってきた。灰色の毛を持った美しい狼だ。意外に大きくてちょっとビビったが。


「オン!オン!」


狼は元気に吠える。

なんとも可愛らしい。


リョウ「よーし、お前の名前はシフだ!よろしくな!」


「オン!」


いいな。

次に武器を受け取る。

すると今度は周囲に光が現れ、それが目の前へと集まり始めた。光は束のように連なると、下から上へと散り始めた。

光の束から現れたのは大剣だった。

長さは1メートル80センチ程だろう。

俺はいつの間にか着いていた、背中の鞘へと大剣をしまった。


リョウ「結構重いな。あとは設定をちょいちょいと変えて・・・よし!最後にメールだな。」


アキラ宛に一通メールを出しておく。


『よう、今アイテムを受け取った所。とりあえず合流でいいよな?最初のリスポンで待ってるぞ。黒髪で175cmのイケメンの人間だ。隣に灰色の狼もいる。』


これでよし。


xxxxxxxxxxxxxx


五分後。


「おーい。」


目の前に140cmほどの、弓を背負った緑髪の妖精の女の子がいた。


リョウ「よう、アキラ。お前本当に妖精好きだな。」


アキラは妖精族を選んだようだ。

武器はランダムに選択されるようだから、運が良かったらしいが・・・。


リョウ「それがお前の相棒か?・・・蝶?」


アキラの傍に居たのは、紫色の美しい蝶だった。

妖精族というのも相まって、とても似合っていた。


アキラ「まぁな、なかなか便利なパートナーらしくてな。戦闘能力が無い代わりに、索敵、地形把握、アイテム探知、状態異常回復、なんかやってくれるらしい。お前をこの人混みで難なく見つけられたのもこいつのおかげってわけ。ちなみに名前はバタフリーな。」


まんまだな。

アキラの賞賛に反応したのか、バタフリーはパタパタとアキラの頭を旋回する。


リョウ「そうか、よろしくなバタフリー。コッチはシフだ。何が出来るのかは知らんが、忠誠心はあると思うぞ。狼だし。」


「オン!」


シフはアキラに対し礼儀正しく座り、挨拶に一声鳴いた。


アキラ「よろしく、シフ。んで、これからどうする?チュートリアルっぽいのもないし、耳に入った情報からすると、ここいらにいる奴ら全員が何していいか分からないって感じらしい。」


アキラが周囲を見回す。

言われて聞き耳を立ててみれば、確かにこれからどうするか、何をすればいいか、と言うような会話が聞こえる。


リョウ「このゲーム自体がオフでも出来るって事を考えると、これがデフォなんじゃないか?もしくは不具合か。」


不具合だったら緊急メンテのお知らせくらい、そろそろ届くと思うが・・・。


『メールが届きました。』


タイミングよくメールが届いた。

周りやアキラを見る限り、全員が一斉に受診したようだ。

メールを確認してみる。


『大変お待たせしました。これよりadventureを本格的に始動させて頂きます。

ここは世界の中心、最も人間族が多く、最も繁栄している国。「オールドキングダム」になります。

皆様はオールドキングダムに所属する人間として、これから行動して頂きます。

傭兵になるもよし、別の国に属するもよし、魔王を討伐するもよし、騎士になるもよし、農家を営むもよし、全てを目指すことが許されています。

何をどうすればいいかはNPCより情報を収集して下さい。

建築、調理、アイテム作成等のゲームシステムについては、特殊な依頼を達成する事により、NPCから情報を開示されます。

これにてチュートリアルを終了させて頂きます。

心ゆくまで開拓をお楽しみ下さい。』


アキラ「これで終わり?魔物の倒し方とか武器の使い方とかレベルの上げ方も分かんないんだけど・・・。」


アキラは混乱しているようだった。


リョウ「とりあえずは情報を集めようぜ。幸い初期費用として1000Gはあるみたいだし。これで地図でも買って、街の施設を回って行こうぜ。」


俺の言葉に促され、アキラは所持金を確認した。

その後少し間を置き、俺の提案を受け入れた。


アキラ「そうしよっか。ちなみにリョウはどんなプレイングしたいんだっけ?」


リョウ「とりあえずは傭兵かな。中世大人数pvpとか燃えるし。前情報じゃデメリットも大した事無いみたいだから、暫くはそこで戦い方に慣れようと思う。」


補助系のジョブスキルは、まだ上げる気は起きないし。


アキラ「ふーん。じゃあそれに合わせよっかな。じゃあ先ずは道具屋で、次に武器屋か防具屋、最後に宿屋って感じでいいかな?」


リョウ「おう、順番通りにいくかは分からないけど、とりあえずそれで探してみるか。」


何も考えずに歩き出そうとすると、アキラが制止した。


アキラ「ちょっと待って。もう見つけた。」


リョウ「何をだ?」


アキラ「さっき言った施設。バタフリーが見つけてくれたみたい。ほら、マップに表示されてる。」


アキラはそう言うと、自身のマップデータを転送してきた。

見てみると、先ほど述べた施設がマーキングされている。

だが、施設の位置が判明はしたが、そこに至るまでの道や、他の建物についての情報は一切無かった。


アキラ「サポートだからね。全部分かったら地図の価値が無くなっちゃうからだと思うよ。」


ふむ。となると、パートナーは様々な補助スキルを持つが、1つ1つのスキルには、必ずその上位互換となるアイテムが存在するって事か?

確かにそれならアイテムが廃れる事もなく、パートナーが不必要になる事も無い。


リョウ「でもそうなってくると、他のパートナーの能力とか気になってくるよな。場合によっちゃ、金欠になる奴とか出てきそうだし。」


アキラ「そこは運じゃない?」


まぁそれはそうなんだが。



そんな会話をしているうちに、道具屋へと着いた。

どうやらここはオールドキングダム王都の城下町、その最果てらしく、ちょっとしたスラムのようだった。

店構えは古く、立地も路地裏と、随分寂れていた。

まぁ最初の道具屋だし、こんなもんだろう。


「いらっしゃい。」


店に入ると浅黒い大男が声をかけてきた。

類を見ないその太腕と土臭さに、彼が人ではない事に気がついた。


リョウ「ドワーフ?」


店主「ドワーフが店構えちゃいけねぇのかい?」


店主は不機嫌そうな視線を向ける。

思えばここは人が最も多い国だ。亜人は煙たがられていてもおかしくはない。


リョウ「すまん。悪気は無いんだ。ただドワーフを見たのが初めてでな。つい口に出しちまった。」


店主「・・・フン。」


どうやら機嫌は直してくれたらしい。


店主「そっちの嬢ちゃんはエルフか?」


アキラ「あ、はい。」


咄嗟に話を振られたアキラは間抜けな返事をした。


店主「亜人のよしみだ。サービスするぜ。」


リョウ「意外だな。エルフとドワーフは仲が悪いって聞いたんだが。」


店主「気にすんな。個人的な事だ。それより何をお求めだ?冷やかしならタダじゃおかねぇぞ。」


取り敢えず店の位置と品揃えを見たかっただけなんだが・・・ここで帰ったら二度と売ってくれなくなるとか無いよなぁ。


俺があれこれ考えていると、アキラが店主に尋ねた。


アキラ「矢が欲しい。いくら?」


店主「矢か、珍しいな。殆どの奴は武器屋で調達するんだが。」


リョウ「無いのか?」


店主「いや、あるぜ。10本で1Gだ。」


リョウ「ん?何か安すぎないか?」


店主「そりゃ大量生産の安物だからな。だがお前達には十分な代物だと思うぞ?」


見た目が悪人だからイマイチ信用できねぇな。

普段ならセーブ&ロードか、捨てるつもりで1つ買うんだが・・・妙に人間味があるせいで騙されたら腹が立ちそうなんだよなぁ。


アキラ「じゃあそれを200本売って。あと短剣と地図。」


店主「はいよ。それじゃ20Gと、短剣が10Gで、地図が100Gで、合わせて130Gね。」


リョウ「俺達最近ここに来たばかりなんで、イマイチ価値感分かんないんだけどさ、オッさん商売になってんの?」


店主「サービスするって言っただろうが。あと俺はゴルムスだ。次オッさんって言ったら、剥製にして鎧立てにするぞ。」


リョウ「へー。まぁ感謝するよ。んじゃ次行くか。」


ゴルムス「クソガキは買っていかねぇのか?」


リョウ「今は特に欲しいものは無いんだ。悪いな。あと俺はリョウだ。次クソガキって言ったらメスゴリラと交尾させるぞ。」


ゴルムス「次は何か買ってけよ。」


道具屋から出ると、既に日が傾き始めていた。


アキラ「あれ?ゲーム内時間って何分で1日だっけ?」


リョウ「確か60分じゃ無かったか?って事は・・・もう1時間も経っちまったのか。」


アキラ「移動がネックだね。ショートカットって出来ないのかな?」


リョウ「オンゲでショトカは有料だからなぁ。あ、でも都市内だったら無料のとこもあるな。」


アキラ「じゃあついでにそれも探しておくよ。あと・・・。」


アキラの言葉が止まった。

何かあったのかと、視線を向け、気付いた。

声を潜め、確認する。


リョウ「何人だ?」


アキラ「5」


リョウ「pcか?」


アキラ「違うみたい。」


都市内での戦闘。イベントか?道具屋関連?

まぁ今一番重要なのは、都市内で襲われることがあるのかどうかって事だが。


リョウ「来るか?」


アキラ「・・・いや、囲まれてるけど来る気配はない。」


武器が抜ければ、そこは戦闘可能区域と分かるんだが・・・常識に囚われてて確認するのを忘れてた。

っと、そういえば。


リョウ「さっき短剣買ったよな?装備してるか?」


アキラ「してるけど、何?」


リョウ「抜けるかどうか確認して欲しい。気付かれないように。出来るか?」


アキラ「やってみる。」


アキラは地図をわざと広げ、反対側を俺が持ち、アキラの左手と腰が隠れるようにした。


アキラ「・・・抜けない。ってあれ?」


リョウ「どうした?」


アキラ「敵が消えた。」


・・・戦闘可能区域の確認がクリア条件だったのか?

普段ならもう一度店に入って事情を聞くところだが。


リョウ「次の店に行こう。何だが気味が悪い。」


五感で感じているせいか、薄気味悪さを覚えた。

どうせこの手のイベントは後で回収できるものが多い。

今は最初の街を探索することを優先しよう。


アキラ「分かった。」


もしかすると、再び謎の五人組が襲って来るかも知れない、と警戒していたのだが、どうやら杞憂に終わった。

気付けば既に宿場町で、他のプレイヤーもチラホラと見えた。


アキラ「結局何だったんだろうね。あの五人組は。」


リョウ「ゴルムスの性格や社会的地位から見ると、ロクな奴らじゃないと思うけどな。十中八九バトルになると思うぜ。」


アキラ「でも都市内じゃ戦えないんじゃないの?ここに来るまでに、ちょっとだけど話を聞いた感じだと、都市内での戦闘行為は不可能みたいだし。それに触れさえ出来ないんだから、どう頑張っても口喧嘩止まりでしょ。」


アキラはそう言いつつ、俺の体へと手を伸ばす。が、その手は服ごと俺の体をすり抜けた。


リョウ「それなんだが、少し気になる事がある。それよりもう夜だろ?一旦ログアウトして、続きは明日にしないか?」


アキラ「そうだね、現実の肉体的にはそんなに疲れていないんだろうけど、ずっと歩き回ってたせいか疲れた気がするよ。」


ログアウトをタッチすると、視界が暗闇に包まれていく。

やがて体も感覚も薄れ、それと同時に右側面に圧を感じ始める。

次第に重力を感じ、目を開くと自室だった。


リョウ「さすがにフルダイブって言うだけあって、体の違和感が半端ないな。っと。」


急激に尿意と便意が湧いてきた。この辺りの信号も弱っていたのだろうか。さすがに遮断はされていないだろうが。


リョウ「ゲームやる前にはトイレに行っとかないと悲惨な事になりかねないな。」


未だに違和感の残る体を動かし、テレビをつける。

時間的に、今はほとんどの局がニュースをしている。


テレビ『本日お伝えしますニュースは、話題沸騰「adventure」とは?

老舗パーツショップ、強盗に遭い全焼

本の帝屋、脱税疑惑に迫る

国宝藤浪、孫が全国優勝

などになります。』


いつもなら気になる項目をタッチして見る所だが、今は疲労感でそんな気になれなかった。

気になる記事も見当たらないし。


『メールが届きました』


アキラか?


『よう、adventure買ったか?買ってるだろ?今から一緒にやろうぜ。』


送信者は、アキラと同じく高校の同級生の、ジュンからだった。


リョウ『今日はもうアキラとやり終えた所だ。悪いけど、また明日にしてくれ。』


『メールが届きました。』


ジュン『なんだよぉー。次からちゃんと誘えよな。』


っと。

フルダイブの影響か眠気が酷いな。

今日はもう寝るか。

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