#02
「ん?あっ、暁さん」
ファンファは暁の服の袖を引っ張った。
指さす先には一人の少女の姿が。
少女はこちらに向かって歩いているようだ。
頭巾をかぶっているので顔は見えないが、小柄な身長からしてファンファと同じぐらいだろうか。
「お嬢ちゃん。ここの街の子かな?」
暁は少女に声をかけてみる。
相手は子どもだ、怖がられないように腰をまげて優しく声を掛ける。
何故か沈黙が三人のなかで流れた。
小さなため息をついた少女は右手で暁の腹を殴り、「うっ」という低い唸りをあげた暁はその場に倒れ込んでしまった。
「暁さん!」
倒れ込んだ暁の肩を抱き必死に名を呼ぶ。
「き、きみ!なんてこと……を……」
怒りに少女の顔を見た瞬間、ファンファはギョッとした。
少女の顔はファンファ以上怒りに染まっていたのだ。どうすればいいのかもわからず固まってしまったファンファはただただ震えていた。
異変に気づいた暁は顔をあげるが、先ほどのファンファと同じようにギョッと恐怖の表情に変わった。
「だれが、お嬢ちゃんですか?そんな子どもにでもたしなめるような声でお話になられて…わたし、チビなガキに見えたかしら?」
二人はブルブルと肩を震わせながら顔を細かく横に振った。
「よろしくて??わたし、歳は二十歳なのよ」
「えっ!?」
驚きの声をあげた暁は「しまった」という顔で口に手を当てた。
「んふふ。何に驚いてるのかしら?」
不敵な笑みを浮かべる少女。これ以上関わりたくないと暁は思った。しかしファンファはそれにお構いなしというように少女…いや、女性に話しかけていったのだ。
「あの…お姉さん。どうしてこの街には人が出歩いていないの?」
「最近、物騒でね。夕方から夜にかけて化物がでてくるのよ。みんな怖くて家からでれないのよね」
「聖騎士団は来ないの?」
「この国にはいないのよ。」
ファンファと女性は黙々とはなし始めた。
輪の中に入れず、暁は黙っているだけ。腕を組み二人の話が終わるのを待った。
「と、いうことだそうですよ?」
はなし終わったファンファう後ろにたって腕組すはる暁に声をかけた。
「つまり、化物が街中をうろついているってはなしだろ?そんなの俺たちが片付けてやるよ!」
「…あんた達が?」
「こう見えても強いんだぜ俺たち。あんたは大人しく家にでもいろ。お嬢ちゃん」
「!?」
ファンファの服を引っ張り、化物を探しに行こうと連れ出した。
「まって!わたしも連れてってよ!」
「一般人に勝てる相手じゃないぞ。まぁ、その馬鹿怪力なら勝てるかもな」
嫌味混じりの言葉に女性は怒りもせずに黙って暁たちを見た。
「その怪力をあんたたちの為に使ってやるっていってんのよ!」
「え?」
ファンファと暁はお互いに顔を見合わせると、女性に背を向きコソコソ話始めた。
「どうします?女性を戦闘に巻き込むなんて…」
「断わったら後が怖いぜ?」
「だからって連れていくんですか?」
不安げな顔をファンファはするが、気にしていないようだ
「まぁ、本人が行くと言ってる。何かあったらお前が守ってくれればいいさ」
「はぁ…」
納得してないようだが、暁の言ったことなのでもう抵抗しても無理だと悟った。
「よし!キミを連れていこう!」