表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黙示録の四騎士より  作者: 染園 颯
少年と青年
2/3

No.01

砂漠の街にある大きな商店街。アラビアンナイトをイメージさせる雰囲気の街並み。

あちこちから声が聞こえ、賑わいを見せている。

少年のファンファは小柄だ。歳は今年で10歳をむかえる。銀色の髪は三つ編みにされ、左の肩から腰まで垂れ下がっている。

お店の果物屋に足を止めて眺めている。


「坊や、魔具(まぐ)を持っているのかい。珍しいねぇ」


お店のおばさんが、ファンファの持っている杖に目を止めた。

杖はファンファの背丈をゆうに超える高さがある。

頭の一つ、いや、二つ分はあるだろう。


「そうだよ。僕の魔具さ」


自慢げに手に持っていた杖を見せた。


「立派な杖だねぇ」


「えへへ」


ファンファは照れくさそうに鼻の下を指でこする。


「一人でここに?」


「いや、ツレがいるんだけど……」


と、その時。

ファンファの後ろから、腰まであるポニーテールをした人が近寄ってきた。


「おや、このおねぇさんがお連れさんかい?」


「誰が“おねぇさん”だよ。胸なんてないぞ俺は」


おばさんは驚きを隠せずにその人の顔を見た。

見た目は整った顔立ちで、華奢な体つき。それと、腰まである長い髪。見た瞬間だけでは男だと気づかない。


「…男だよ。そんな顔すんなよ。今この場で服を脱いでもいいぞ」


(あかつき)さん!それは警察に捕まりますよ!」


「冗談に決まってるだろ。果物買ったらさっさといくぞ」


「はい…」


ファンファは果物をいくつか手にとって支払った。

不思議そうな顔をしたおばさんをよそに、暁はファンファを連れて去っていった。


「ったく。誰がおねぇさんだよ。デカイ剣を持った女なんてそうそういないだろに」


先ほど買ってきた果物にかじりつく暁。


「仕方ないですよ。女性みたいな見た目なんですから。間違われるのは今に始まったことでもないですしね」


「……一回お前は黙ってろ」


「いてっ!」


ファンファの頭に暁の拳をくらった。

頭を撫でながら、「本当のことをいったまでだ」と心で思った。


暁は真っ黒な髪で、くせっ毛の強い髪質。

西洋の様な服装の自分だが、暁は東洋の和の服装をしている。

その背中には大きな剣を背負っているのだ。


「あっ!暁さん!」


暁はどこから取り出したのか、酒をグビグビ飲み出した。彼は酒豪なのだ。ファンファは酔った彼の後始末を嫌というほどしている。

ちなみに暁は二十代後半の青年だ。

もちろん、ファンファは未成年なので酒を飲むことはないが、彼の酒に付き合わされるのは辛い。


幼き十歳にして酒の付き合いをさせられているわけだ。


ファンファはファンファで、背は低いが大人びた表情の持ち主だ。しかし身長のせいで年齢より上に見られることはない。逆に幼く見られてしまうのが今の悩みになっている。


そんなこんなで歩いていると、商店街を抜けて住宅街に入っていた。


「随分と古い家が多いですね」


「歴史ある国だからな。街並みもどこか古風だな」


「リャーナでしたね。この国の名前」


「あぁ。唯一砂漠に囲まれた国だ」


活気というほど活気はなく、妙に静かなところだ。

人も見かけない。商店街とはうって変わっている。


「妙に静かだな」


「出歩いてる人がいませんね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ