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No.00
誰かが言った。『世界の終わり』だと。
男は言った。『死が怖い』と。
赤子を抱えた母親は言った。『小さな命は助けてくれ』と。
若者は言った。『運命には逆らえない』と。
誰もが思った。死はすぐそこにあると。
神が言った。『これが人間の終わり』だと。
誰もがそう思った。すべてが終わる。
しかし、誰かが言った。『終わりではない』と。
屍の転がる地上。地は赤い液体を吸う。
絶望に光が差す。その光はやがて世界を包む光となる。
絶望や死は去っていった。
神は言った。『人間に終わりは来る』と。