隣にはいつだって大切なものがいる!!
「はぁ〜…」
ため息ばかりでる今日この頃。
最近、嫌なことばっかりである。
というか上手くいかずに空回りばっかり…。
今日の最大のテンション下げ元は「検定」の不合格。
それに引き続き、授業での答え発表の変なミスに笑われる。
友達の輪に入り込めずに独り。
中学とはレベルの違う部活動での戸惑い。
なにもかもが上手くいかなかった…。
高校生になったら、薔薇色なんだと夢を見たのが馬鹿みたいだ。
ぜんぜん楽しくないし、むしろつまらない。
虚しくなってくる。
なんのためにこの遠い高校に通ったのか?
中学の友達が独りも居ないこの学校に…。
偏差値が足りなかったわけでも、公立に落ちたわけでもない。
自分で決めたこの道…。
中学からやっていた部活。
さらに上を目指したいと思った。
あの時、どんな事があっても頑張るんだと意気込んでいた自分が…本当に浅はかだ。
現に今…耐えられていないじゃないか?!
もうこんな高校やめたい…!!と思ってしまうほどに心が締め付けられた。
「ただいま…」
家に帰宅する。
こういったって返ってくる返事なんてないのは分かっているがつい…言いたくなった。
そして、わかっているのに返ってこない返事に悲しくなってくる。
当たり前だ、親はまだ仕事が終わっていない。
独りなんだと思うとまた心が痛い。
外はだいぶ暗くなった。
私はそとの外灯をつけ、自分の部屋に行った。
かばんを放りだして、ベッドに倒れこむ…。
すると目じりが厚くなって、視界がぼやける。
…なんで、こんなに苦しいの?
…なんで、こんなに悲しいの?
…なんで、私は独りなんだろう?
その問いかけが頭をぐるぐる回る。
答えなんて、ただ一つ…。
それはお前が決めた道…だから、しかたがない…と返ってくるだけ。
現実なんてそんなもの。
上手くなんていかない。
けれど、中学の頃方がずっと良かった。
こんなに行くづまった事なんて無かった…!!
ぽろぽろ。
流れていく涙は、枕に吸い取られていく…。
ドンドンッ
窓から音がする。
正体は、確認せずともわかった。
この時間帯になるといつも、窓を鳴らすのは…。
大切なあの人
……なら良かったんだけどねっ。
「なに、ポチタ?散歩に行きたいの??」
「わんっ♪」
窓を開けると、我が家の愛犬ポチタが跳び付く。
さっきまで、シリアスに浸っていた私にお構いなく。
無邪気に「散歩に連れてって!」とおねだりしてくる。
気分的に行きたくなかったが、いったん顔を出すとほえ続けるので
それでは近所迷惑になりかねない…。
そう思い、しかたなく散歩へ出かけることにした。
「だぁ〜もう!そんな、強く引っ張んないでよーーっっ」
あいかわらず、ご主人様である私なんて気にせずに疾走の如く走る。
それに引っ張られて、ついていく私。
こんなことなら、小さいうちからしつけをさせるべきだった。
…と、お決まりな考えを浮かべながら走る。
帰った後には、息ぜぇぜぇ…。
でも、さっきの落ち込みよりは気持ちが晴れていた。
やっぱり身体を動かすとすっきりするというのは本当だなっと思った。
「わんわんっ」
「はいはい…。牛乳ね!わかったから、そんなに跳び付くなっ」
散歩の後牛乳は何故か、ポチタの日課になっていた。
よこさない日があれば、またもやほえ続けるという…。
なので仕方なく、冷蔵庫から牛乳を取ってくる。
少し自分が飲んで、水を足す。
そうしないと、おなかを壊すから…。
ポチタにとってはかなり打撃らしい。
「まて、まてだからなー。そーそー」
念入りに、待てと命令する。
ウチの犬もそれほど馬鹿ではないらしく
待てくらいなら、しつこく言えば舞ってくれる。
右手をポチタにかざしたまま、容器に薄めた牛乳を入れる。
「よしっ」
びしっと人差し指で、牛乳をさすと「待ってました」と言わんばかりに
勢いよく牛乳を飲む。
あれだけ走れば、喉もかわくわな。
そう思いながら、飲んでいるポチタを座って眺めていた。
「はぁーあ
ポチタはいいよなー。
悩み事なんてないんだろうし!!」
ヤツ当たってポチタに言う。
びっくりしたようで、飲むのを中断する。
ポチタは何も悪くないのに…。
「ご、ごめんね!ポチタ
いいんだよっほら、飲みな!!」
優しくなででそういうと安心したのか、また飲み始めた。
また、座ってポチタを眺める。
なんで、こんなに苛立って…馬鹿みたい。
また、今日あった事。
果てまでは、昔あった嫌な思い出まで思い出してしまった。
膝を抱えて、顔を埋める。
私なんて居なくたって世界は回り続ける。
そこまで、ネガティブ構想回路までおよんでしまった。
今回はかなり重傷…。
そんな時、牛乳を飲んでいたポチタが
私の横にちょこんと座った。
「ポチタ…?」
鼻を押し付けてくる。
そして私を見上げた…。
いつもなら、飲み終わったらそそくさ小屋に戻ってしまうのに
なんで今日に限って…。
また…涙がにじんでくる。
「うぅ…っ」
「…くぅ〜ん」
ポチタは、悲しそうに鳴く。
「どうして、泣いているの?」と不安そうに聞いてくるようだった。
私はポチタの頭を撫でた。
涙をこぼしながら…。
「ありがと…ポチタ」
隣に居てくれるポチタ。
きっと、私を必要としてくれている。
そして今は、私を支えてくれている。
そう思うと、心があったかくなった。
悲し泣が、嬉し泣に変わった瞬間だった…。
きっとどんなに私が独りになったと思ってもそうはならないだろう。
だって隣にはポチタがいるから。
私は…明日も頑張っていける!!