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DRAGOON戦記  作者: 亡霊
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第6話

月面に向けてただ一機降下するレイを操作し、マサキは機体の姿勢を制御する。

ヒュタント攻撃が作戦にされてはいたが、生き残る事を考えればヒュタントに向かうのは得策ではない。

しかし、現状ではただ一機で防衛線を突破した形になっているならば最早このままヒュタントに対して攻撃した方が良いだろう。

ヒュタントは補給物資の一大拠点であるが基地その物の防衛装備は低い。

ならばむしろこのままヒュタントを攻撃し、混乱に乗じた方が生き残れるかもしれない。

何より、他の味方は帝国軍の防衛線の前に後退もままならない状況であれば、このまま味方と合流しても逆に一緒に包囲されてしまうだろう。

虎穴に入らずんば虎児を得ず、だ。「駄目で元々、やるだけやるしかないなこれは・・・」

意を決したマサキは機体が降下するのに合わせてレイのバーニアを吹かす。

合わせて推進剤の残量を確認し、まだ余力があると判断するとヒュタントに進路を向かわせた。


一方のヒュタントでは防衛線から零れ落ちてきた連合軍のTW、レイに少ないながらも配置された防衛火器が照準を向けていた。

たった一機のレイとは言えヒュタントに到達させてはならなかったからだ。

ヒュタントにもTWは配置されていたが、基地内で戦闘すれば基地そのものに被害がでる。

ましてや、基地に配置された防衛TW隊は両腕を50mm SGショットガンに改造したシミターで支援型だった。とてもではないが旧式のTWであるレイ相手でも部が悪い。

それらを考えて基地司令は防空戦闘を指示し、マサキのレイを撃墜する様に命令を下す。

基地司令の命令を待っていたかの様に対空ミサイルがレイに向けて打ち上げられる。

マサキは自身に向かって来るミサイルを回避する為にフレア(熱源を発生させて身代わりにする装備)に推力を持たせたフレアマーカーを射出する。

フレアマーカーに引っ張られたミサイルが軌道を反れ、フレアマーカーを追いかけるが全てが騙されてくれる訳ではない。

騙されずに真っ直ぐマサキのレイを目指すミサイルに、マサキはレイの腰にある半固定式の12.7mm機銃を使い迎撃した。

とは言え、元々この12.7mm機銃は地上に置いて歩兵の待ち伏せ攻撃や肉薄攻撃に備えた装備だ。

対ミサイルを想定していないので照準は完全にマニュアル操作でやらねばならない。

「頼むから当たってくれ!」

祈る様な気持ちでマサキは機銃を操り、ミサイルに照準を合わせて迎撃を行った。

初めの内は良かったが、何発もの対空ミサイルに照準が追い付かなくなる。

仕方なく温存しておきたかった37mm SMGも迎撃に参加させた。

ミサイルが爆発し、レイには未だに届いていないが、このままでは確実に命中させられてしまうだろう。

だが、現状ではそれしかない。


そして、ついにフレアマーカーにも騙されず、迎撃もしきれなかったミサイルがマサキのレイに向かってきた。

咄嗟にスラスターを起動させ機体をずらすがミサイルの近接信管が機能を果たし、至近距離で内部の炸薬に点火、爆発する。

幸運だったのは直撃ではなく近接信管によるミサイルの自爆であった事だ。

対空ミサイルは装甲の薄い航宙機、すなわち地上に置ける航空機に対しては破片による損傷、撃墜が可能だ。

しかし、装甲が薄いと言ってもレイはTWなのだ。

航宙機の様に装甲がほとんど無い訳ではなかった。

その為、直撃は危険だが近接信管による爆発ではレイに与えるダメージは低いのだ。

無論、全くダメージが無いわけでなく、一部センサーなどに不調を起こさせていたが、逆に至近距離での爆発は他のミサイルの目を誤魔化すと同時にレイの機動を助ける形になってしまっていた。爆発の衝撃に揺さぶられながらもマサキは巧みに機体を操り姿勢を保っている。

そして発生した爆炎により熱源追尾型のミサイルの一部が其方に向かって軌道を変える。

これを好機と捉えたマサキは月の重力に引っ張らつつ、そのまま機体を急降下させた。

その間にマサキは残りのフレアマーカーを全弾射出しミサイルの追尾を振り切ろうとする。

結果、ミサイル群は爆炎とフレアマーカー、そして急激な機動変更によりレイを見失いそれぞれが明後日の方向に飛んで行くことになる。


マサキは何とかヒュタントまで後少しの所までレイを持って来たが、そこに今度は50mm SGがばらまかれた。

50mm SGは散弾をばらまく装備だ。

口径が大きいのは散弾量と炸薬を増大させる為に、ショットシェルと呼ばれる弾が大型化した結果である。

対空装備の一環として配備されたので、多数の散弾と射程距離が求められたら結果でもあった。

とは言え、対空装備なので対装甲装備ではない。

これも航宙機には効果は大きいが、装甲を持ったTW相手ではやや火力不足だ。

何せ散弾には装甲貫通能力が欠けているからだ。

命中率は散弾量の増加で高いが、やはり威力の面では不安がある。

しかし、至近距離から喰らえば例えTWでも破壊出来る装備でもある。

もっとも、この時マサキが受けた散弾は距離があったので言う程の問題にはならなかった。

散弾をばらまいてくる改造型シミターを横目にヒュタントに降り立ったマサキは、次の行動を開始すべく動き出す。

たった一機であるため、効果的な破壊は不可能ではあるが、目に付く倉庫を狙って攻撃する事は可能だ。

それをやる為に再びマサキはレイを動かした。

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