過去
過去に戻れるのであったら戻りたい
でも
戻ったとしても何を変えるの?
中学3年の、夏。
はじめて彼氏ができた。
彼の名前は慶。
隣の席であまり
目立たない男の子だったけど
何気ない優しさと思いやりで
あたしの心を乱していった。
このことを親友の里香に言った。
「本当に?やっと好きな人見つけたんだね!
慶クンはまあまあ良いほうじゃん♪
どうする?告るの?」
「う~ん…。」
「大丈夫だよ!茉莉カワイイから即OKだってば!」
「そ、そこまで言うなら…」
あたしも焦っていたのかもしれない。
もうすぐ夏休みが始まることと
誰かにさき越される心配で…
でも本当はもっと慶くんのことを知っとくべきだったんだね…
あたしは放課後に実行した。
「慶くん。あたしね、慶くんの事、好き。
だから…ね、その。つ、付き合ってほしいんだ」
顔は、上げられなかった。恥ずかしくて。
きっと顔が熟れた林檎のように
真っ赤になってる気がして。
「…うん。僕も好きだったよ。
付き合おう、…ま、茉莉」
うれしかった。
好きな人に「好き」なんて言われて
嬉しくないはずが、ないもの。
「ありがとう…慶」
このときから
あたしが登るはずだった人生の階段を
踏み外してしまったんだ。
・・・・・・・・・・・・・・♪




