いにしえの皇帝、大いに語る
※本作はフィクションです。実在の法律・人物・団体とは一切関係ありません。
オッスおら皇帝。何千年も前のな。
お前ら、よく俺ら皇帝のこと馬鹿にしてるじゃん?
「不老不死とか求めて、水銀飲んで中毒で死んでやんの。馬鹿でー(笑)。」とか言ってるだろ?
知ってるからな。あの世で見てるからな。
お前らあれじゃん?そんなの後出しの知識じゃん?お前らが発見したわけじゃないじゃん?
しかも、あんなにギンギラしてて、しかも液体とか。知識ゼロで見たら誰だって『こいつはすごいものに違いない!』って思うだろ?つか思え。
それでもまだ俺らのこと馬鹿にするか?
お前らだって、通販で効きもしないハゲ薬とか美容液とかホイホイ買ってるだろ。聞いたこともないような企業が出してるのをよ。
同じなんだよ、俺もお前らも。
あとな。
お前らすごーく勘違いしてるけどな。
『不老不死の望み=永遠の命が欲しい』じゃねーから。
別に永遠の命が欲しいわけじゃねぇのよ、俺。
考えても見ろよ。皇帝とか激務だぞ。
そりゃあ、統一するまでの道のりはそれなりに楽しかったけどさ。
そっからはもうただの保守管理業務マシーンですよ。
事務的な仕事は山ほどあるし、人間関係、利害関係はえげつないし…自分の時間なんて全っ然無い。
小説とか書いてるお前らが羨ましいわ畜生。
…話逸れたわ。
でな、そんな生活。ずっと続けたいと思いますか?無いだろう?
『永遠の命』って、死なないのに死ぬまで働くとか地獄でしょ?
じゃあ、何のために不老不死を願ったか。簡単よ。
一つは『仕事をこなせる体力が欲しかった』。うーん…社畜。
そしてもう一つ、これが重要。
『暗殺されても大丈夫な体が欲しかった』。これ。
これなー、ほんと切実なのよ。
常に暗殺の危機に晒されてるじゃん。ストレスヤバいし、自由に動けない。
ふらっと散歩に行けない。
好きなもの、食べられない。いつも冷たいものばかり。
夜な夜な一人でエッチな本とか見てるときも監視付き。泣きそう。
そこに不老不死の薬があればよ? 護衛も監視も毒見も要らないの。QOL爆上がり。
そんなの寿命削ってでも欲しいじゃん。
おれも正直、『この薬やべーんじゃねーかなぁ』、とは薄々感じてたよ。
だって過去の皇帝で『これは効きました!』なんてレビューしてるやつ見たことないもん。
でも、それに縋ってでも、元気で自由な暮らし、欲しいだろ?
お前らも、今まで飲んできたサプリや健康食品、効いたことないだろ? でも明日は効いて欲しいだろ?
そういうことだよ。
つまり、昔の皇帝も、今のお前らと考えてることに大差はないってことだ。
あんまり壮大に考えたり、逆に馬鹿にしてんじゃねーぞ。
じゃあな。
「…ということでした。」
(最近のイタコ、芸風変わったな…。)
おしまい




