わたしは本屋に向いていない
ときどきやる。
本を勧める。
自分の好みと他人の好みが合うとは限らない、というか、合わない確率のほうがずっと高いがついやってしまう。
善意かと言われれば、違う。
もっと利己的な考えである。
先日、あるゲームをした。
移動本屋である町で本を売りながら、住人たちと交流するほのぼのゲームなのだが、売る本が架空の本かと思ったら、東野圭吾とかその手の日本のベストセラーの名前がバンバン出てくるゲームだったのが困った。
ほとんどがわたしが読んでいない本だからだ。
そりゃ、本屋さんが自分の売っている本を全部読んでいるわけではない。
が、好みの問題でこれからも読む予定のない本を他人に売るのがこんなに罪悪感があるとは思わなかった。
かといって、わたしが好きな本はあらわれない。
辛いなあ、と思っていたら、来た。
『カタロニア讃歌』 ジョージ・オーウェル著
来やがった! これなら勧められる!
客1「何か面白い本はありますか? 恋愛小説が欲しいんです」
実「カタロニア讃歌がおすすめですよ」
客1「それはわたしの好みではありません」
客2「何か面白い本はありますか? ミステリが欲しいんです」
実「カタロニア讃歌がおすすめですよ」
客2「それはわたしの好みではありません」
客3「何か面白い本はありますか? 児童文学が欲しいんです」
実「カーターローニーア讃歌を読め!」
客1「それはわたしの好みではありません」
全敗。
わたしは本屋に向いてません。
脱サラして本屋になろう!ってトチ狂う前に分かってよかった。




