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とかされる

前から、後ろから。

頬に、額に、耳に、首筋に。

順番に、交互に、確かめるように。

まるでゆっくりと、心を溶かしていくように。


キスが、重ねられていく。


陽の肩が揺れる。

息が上がり、顔は真っ赤に染まり、細い腰が震えはじめていた。

無意識に、力が入らない脚を澪の膝に預けるように寄りかかる。


「だめ……こんなの、やだ……変な感じ……」


声にかすれが混じる。

口元は濡れ、うっすらと唾液が光っていた。

その艶やかな光に、澪も詩帆も理性を失いそうになる。


「ねえ陽……どうしてそんなに可愛いの……?」


詩帆が、舌先でそっと陽の下唇をなぞる。

ナメクジのように這うその動きに、陽の全身がびくりと跳ねた。


「んっ……やっ……ぬるぬるしてる、やだ……っ」


「でも、気持ちいいでしょ?」


詩帆が囁き、唇を再び重ねる。


そのあいだにも、澪の手は陽の背中を撫でていた。

爪先がほんの少し、シャツの裾をめくる。

汗ばんだ肌に触れたとき、陽の腰が小さく震えた。


「こわくないよ。……わたしたち、陽を傷つけたりしない」


「ただ、好きって伝えたいだけなの」


「身体の奥まで、ちゃんと、全部」


陽は首を振ることもできず、ただ二人の熱に包まれていた。

手の中で微かに逃れようとするも、指先ひとつ動かすたびに愛しさの粘膜が貼りつく。

どこもかしこも、柔らかくて、熱くて、息苦しくて。


「こんなの……わたし、知らない……知らないよ……」


涙が、ぽろりとこぼれた。

けれど唇はまた重ねられ、濡れた音が静かな音楽室に響く。



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