良くある結末
クリスたちを触手モンスターが潜んでいる部屋に引き連れた男が、冒険者ギルドに入っていった。
彼の目的地はギルドマスターの執務室。扉をノックして入り、ギルドマスターに今回の顛末を報告した。
「ギルドマスター、第56回の定期掃除が終わりました」
「そうか、よくやってくれた。あいつら害虫は気づいたら増えているからな。定期的に間引かなければならないのが面倒だ」
「冒険者のまま死んでくれればいいんですが、ハイエナや犯罪者に落ちぶれると都市の治安も悪くなりますからねぇ」
「全くだ。使えなくなった冒険者はさっさとダンジョンのモンスターに食われて欲しいよ。下手に生き延びるから我々が駆除しなくてはならなくなる。まぁ、あの触手モンスターは捕食時に幻想を見せる液体を分泌して獲物に注入するらしいから、屑共も最後は気持ちよく死ねるだろう」
迷宮都市には数多くの冒険者が訪れる。
その多くがダンジョンで命を散らすが、中には生き残ってしまう者もいる。五体満足に生き延びればまたダンジョン攻略が出来るのだが、面倒なのは障害を負った時だ。
大体が肉体的な欠損やさもなくば精神障害を発症しておりダンジョンに挑むことも出来ず、生きていくために犯罪行為に手を染めるのだ。
女は大抵娼婦になるのでまだ問題ないが、男の方はハイエナになったり他の冒険者を襲ったりするので厄介だ。
また、都市のインフラは有限である。障害持ちで税金を納めない彼らゴミ共は存在価値がないどころか害悪でしかないことから人知れずギルドは定期的に駆除しているのだ。
働かずに税金を納めない者に人権などない。
社会のお荷物には一刻も早く退場してもらうことが、都市を正常に保つ秘訣なのだ。
どうせまた1年もすれば働かない屑共がうじゃうじゃと生えてくるのだろう。
屑はさっさとダンジョンで死んでほしいものだ。
溜息をつきながら、ギルドマスターは次の執務に取り掛かるのだった。