レヴィ視点③
城内図書室で見つけた本のおかげで、レヴィの知識は増えた。新たな世界を食い入るように読みこんでおり、何やら周りからチラチラと見られていたが、そんな事気にする余裕はなかった。
そして、どうやってオリーと友達以上になるか。
これが最大の問題であった。
オリーとは変わらず交流を持ちできる限り一緒にいられるようにしていたが、なかなか友達以上に発展させるのは難しかった。それにどんなに遅くなって泊まっていけば?と誘っても、オリーは必ず公爵家へ帰っていく。外泊が必要になる遠出は必ず断られてきた。
そんな時、通っている王都学園で、成績優秀者数名での実践勉強会の知らせを受けた。レヴィは最優秀者なので参加権があり、参加者は同行者を1人選んで同行者とチームになって1泊の合宿を行うものである。
これだ!
早速オリーを呼び出した。しかしオリーの事だ、泊まりと分かれば必ず断って来る。
そう考えて、1泊の事は内緒にして誘ってみた。行き先のアンゼル地方は日帰りできる距離でもあり泊まりと気付くかどうかは際どかった。それに同行者は誓約書に記入しなければならず、さすがに誓約書には詳しく書かれているので、気付くかどうかは一か八か。でもオリーの事だ。面白そう!と興奮してよく読まずにサインするだろう。
そう考えた僕は見事サイン入りの誓約書を手に入れ、その足で提出をし受理させた。
思った通りの展開に笑みが漏れるが、少しだけ騙した罪悪感も湧いた。
でも…これでさすがにオリーは来るだろう。この合宿でオリーと親密に、あわよくばもうちょっと先まで…。
不埒な考えをして赤面し、顔をふって考えるのをやめたが、自分の物にしてみせるという決意は固かった。
…………
後日、案の定オリーは「1泊⁉︎」と驚いたが、僕は「言ってなかった?でも誓約書には書いてたよ?」と素知らぬ顔をした。もう受理されてる事も、今から変更するのは色々大変だと伝えると(全然大変じゃないけど)、何やら考え込みながらも実践勉強会に同行してくれるようになった。
そして、当日の早朝公爵家まで馬車で迎えに行った。
その時オリーの母君からウインクをされ、母君には全てバレているのだと急に恥ずかしくなった。
しかし、母君の許可も下りたのだ。僕は決意を胸にオリーと共に馬車に乗り合宿へと向かったのであった。