レヴィ視点②
レヴィは執務室の椅子に座って真剣に考えていた。
オリーに出会って以降、何かにつけてはオリーと交流を持つようにした。王子と発覚してもオリーは全く態度を変えず、今まで通りに接して来てくれた時は嬉しかった。
あぁ、オリーは僕を1人の人間として見てくれている。
心の飢えはオリーと会うと潤い満たされていく。
「またね!」
そう言って帰っていく後ろ姿を見るたびに、
離れたくない。もっと。もっと一緒に居たい。
潤っていた心は瞬く間に乾いていき、潤う前よりさらに枯渇していた。
もうダメだ。離れたくない。欲しい。触れたい。自分の物にしてしまいたい。
今まで誰かに恋をした事など全くなかった上に、相手が同性という事にも最初は戸惑ったが、もうそんな事どうでもよくなっていた。
オリーに好きになってもらうために、今まで武器だと思っていた笑顔を見せても、怪訝な顔をされるだけでオリーには全く効かない。そもそもオリーが同性の恋愛についてどう思っているのか聞きたいが、もし否定的だった場合を想像すると怖くて聞けない。
それでも諦めるという選択肢はない。そして一つ大きな問題が発覚した。
この国では同性婚は認められていない。というか認めるという法律も無ければ、認めないという法律もない。そのためまずは同性婚を認める法律を作るために奔走した。
その時に、同性恋愛をしている人達についても調べた。
ダメな事をしているようで、周りに隠して生活をしている事。
堂々とデートもできない事。
結婚できないためパートナーとして一緒にいるが、病気や事故などの怪我の時に、第三者として扱われて何の役にも立てない事。
今まで全く知らなかった同性恋愛の現実に衝撃を受けつつ、無知であった自分を恥じた。自分が知らなかったせいで、過去も現在も同性恋愛をしてしていた者達に不便な思いをさせていたのだと申し訳なく思い、他の法案を押しのけて審議にこぎつけた。
そしてつい先程同性婚を認める決定書に自分の印を押した所だった。最後に現王である父の印が加われば晴れて同性婚は認められる。
ほっとしたのと同時に、気がついた。
同性同士ってどうやってするんだ?
女性相手なら、王太子教育の一貫で経験は無いが知識はあった。しかし、男性同士の方法は習っていない。
分からなければ調べれば良い。
勢いよく椅子から立ち上がり、城内図書室へと走りだした。