オリヴィアの学園生活
「ごきげんよう。オリヴィア様。」
ご令嬢たちが美しいカーテシーと共にオリヴィアに挨拶をしてくる。
オリヴィアとオリヴァーはレヴィが通っている王都学園には通っていない。
オリヴァーはブローニュ地方で通っていた私立学園で、本来18歳で卒業する所をわずか14歳で卒業していた。
なので学園に通う必要はなく、公爵家に住むようになってからは父親と共に領地経営など次期公爵として勉学に励んでいた。
一方、オリヴィアは父親から強制的に編入させられた王立女学園で貴族令嬢達と令嬢としての教養を学んでいた。
「皆様、ごきげんよう。」
オリヴィアも自分に挨拶してきた令嬢たちににこりと微笑む。
すると微笑んだ先にいた1人の令嬢がバランスを崩した。持ち前の瞬発力でオリヴィアは倒れかけた令嬢にかけ寄り抱き抱える。
「フローラ様大丈夫ですか⁉︎」
周りの令嬢が何やらキャーと騒いでいるが、オリヴィアは倒れかけた令嬢を心配そうに覗き込んだ。
「は、はい。少し立ちくらみがして。オリヴィア様のお手を煩わせて申し訳ありません。それに…名前まで覚えてくださっているなんて、もう私思い残すことはございません!」
「いやいや!不吉な事言わないでください。それよりまた立ちくらみしては危ないのでこのまま医務室までご一緒します。失礼!」
オリヴィアはフローラをひょいと抱き上げお姫様抱っこをし、小声で
「私に捕まって。」
とフローラに微笑み、急いで医務室へと向かった。
(日頃から鍛えておいて良かった。ご令嬢の1人や2人なら持ち上げられそうだな。)
オリヴィアこんな事を考えていたので、フローラが顔を真っ赤にして涙目になっているのも、後ろの方が何やら騒がしい様子であったのも、オリヴィアは気付かなかった。
オリヴィアは女学園ではさすがに男装もやめ一人称も私に変えて、淑女として他の令嬢達に接していたつもりだった。しかし令嬢とは思えぬ行動や身のこなしと中性的なルックスで、お姉様と陰で呼ばれてファンクラブができている事を知らない。