訓練後にて
キーン!!
剣と剣が激しくぶつかり合う。金髪碧眼の少年と灰髪にダークブルーの瞳をした少年2人は軽やかな身のこなしをしながら、互いの攻撃をかわし隙をつく。接戦を繰り広げており、なかなか勝負はつかない。
両者とも大量の汗を流して息を切らし、最後の力を振り絞って攻撃をする。
そして、
ドス!という鈍い音を立て、金髪の少年が崩れ膝をつく。
レプリカの剣ではあるが、攻撃を受けるとそれなりにダメージは受ける。
「ヴィ大丈夫!?」
灰髪の少年がかけ寄り対戦相手の少年に寄り添う。
「やっぱりオリーにはなかなか敵わないな…」
この頃になるとオリヴィア(オリヴァーと勘違いしたままであるが)の事はオリー、レヴィ第一王子の事はヴィとお互いが愛称で呼び合っていた。
オリヴィアはレヴィが第一王子と知っても驚きはしたが態度を変える事はせず、レヴィもまたそんなオリヴィアにますます好感を持ち仲を深め、2人のその様子は周りからも唯一無二の親友のように思われた。
「ふふ、ヴィもだいぶ強くなったんじゃない?最初の頃は全然だったのに。はい、これどうぞ。」
2年前初めて2人が対戦した時、レヴィはオリヴィアにコテンパンにされており、その時を思い出してオリヴィアは笑いながらタオルと水を手渡した。
「うるさい!僕より背が低くなったのに!」
初めて会った頃は2人とも背丈は同じぐらいだったが、成長期のためレヴィはどんどん背が伸び、今では20㎝も差ができてしまった。オリヴィアは女性へと体も成長してきたが、動くと邪魔な胸はサラシで巻き、髪も短いまま男装していたのでレヴィから双子の弟オリヴァーだと勘違いされたままだった。
「はいはい。それより早く飲みなよ。」
オリヴィアはもう一本の自分の水をぐいっと飲み、残りを頭から被って熱を冷やした。
「つっ!!」
その様子を、驚きそして目を凝らして食い入るようにレヴィは見ていた。
「ヴィ、どしたの?」
水が滴る中顔をあげ、少し上気した顔でレヴィを見つめるオリヴィアに、レヴィは顔を真っ赤にさせて仰向けに倒れ込んだ。
「えっ!えっ!?ヴィ??」
オリヴィアは倒れたレヴィを心配そうに覗き込んだ。
「はぁーーー。何でオリーはいつもそうなんだ。あーあ、もう僕本当嫌んなっちゃう。」
「はぁ?何言ってんの?もう心配させないでよ!」
レヴィが大丈夫だと安心したオリヴィアは、レヴィを睨みつけ、残った水をレヴィの顔にぶちまける。
「うわ!ちょ!何してんだよオリー!!」
驚いたレヴィが上体を起こしオリヴィアを睨むと、オリヴィアは突然走り出した。
「やーい!悔しかったらここまでおいで!」
まるで子供の喧嘩みたいだと笑いしながら、レヴィはオリヴィアを追いかけたのだった。
(絶対捕まえてみせるからな。)
そう心に誓って。