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プロローグ:ある男の走馬灯

初心者です

おかしな表現などもあるかもしれませんが緩く見てやってください

毎週金曜日投稿を目指します

『村の人の様子がおかしい?』


あいつはびっくりしたような様子で聞き返してくる


「ああ。最近になってからなんだが、村の人と話していると二言目に“あの方”とかいうやつの話が出るようになったんだよ」

『“あの方”・・・?』

疑問に思うのも当然だ。俺もいまだに信じられない


「どこのどいつか知らないが、話の内容からするに病的なまでに信仰されてるみたいだ

 ほら、お前人の考えてること読み取れるだろ?ちょっと様子を見に来てほしいんだよ」

『考えてることが分かるとかそんな大層な物じゃないけどね?見に行くのはいいよ』

『で?それだけの話だったら別に人をひきつけやすい人ってだけだろ?』

コンコン

まずいな、もう奴らが来たのか


「それが…なにやらたくらんでるみたいでな。小耳にはさんだ話だと化け物が裏にいるとかなんとか・・・」

『化け物?ふむ。なるほど、それは確かに気になるな』

さっきと比べてガラッと雰囲気が変わったな。どこか名探偵的なオーラが離れていてもひしひしと感じられるぜ


外「いますかー?」


まずい、時間が足りない

玄関にはあいつらがいる、裏口からでるか

靴は…履いてる暇はねえ。財布と…スマホ。これだけあれば大丈夫だろ

奴らに気づかれないように細心の注意を払い、そーっと裏口から逃げだす。電車の切符は買ってある。まだ駆け込めば間に合うはずだ


「とにかく、こいつらはちょっと危ない。ちょっと…探ろうとしただけで…こうして追われるん…だからな」

『!?おい、今走ってるのか?』

「ああ、まあ。大した…ことじゃない、頭が…おかしい教団…と追いかけっこしてるだけさ」


くっそ、卒業以来、走ってなかったからな、息切れが速い。あいつらはまだもぬけの殻になった俺の家の前で見張ってるはずだ。とにかく遠くへ逃げなければ


『なんで手を出す前に言ってくれなかったんだ!?そんなにやばい連中、俺が来てからでも…!』

「隠して…やがった、巧妙…に。調べ…始めて正体の…尻尾をつかんだら、今度は…こっちが追われる身さ」

『ああもう!うちで匿う、こっちへこれそうか!?』


……こいつは。ホントに優しい奴だよ


「ああ!電車の切符はもう買って…

ブツッ!

ちっ、充電切れか。さすがに買い替えておくべきだったかもな……。


「…なあ、ちょっとやり過ぎじゃないか?」


俺の目線の先には駅への道へ行かせないように立ちふさがる、教団の奴らの面々が。

その中の20代後半の女性が進みでて、思わず鳥肌が立つような笑顔でこう言った


「そんなことはありません」

息を整えつつ言う

「君たちのくろーいところを少し調べて知っただけじゃないか」

時間稼ぎにもならないが、一応会話を試みる。ここは田舎なもんで、時間を稼いだところで人っ子一人見当たらないわけだが


「どうせ口封じにでも来たんだろ?」

あえて挑戦的に言ってみる


「口封じ?」


「いえ、違います」


「私たちは新しい信者を今獲得しようとしているところなのです」


「そんな口封じだなんて野蛮なことはしません」


奴らは口々に言い放ちながらこっちへ近づいてくる

「悪いが、神様とかは信じない性質なんでね」


じりじりと追い詰められていく。もう走る気力なんて残っていない。大量の汗はこの暑さから来るのか、はたまた冷や汗なのかはもう分かりはしない


「神様?」


「そんなものと一緒にしないでください」


「“あの方”はもっと素晴らしく尊いものです」


「さあ、あなたも“あの方”と共に世の真理へと歩み寄ろうではありませんか!」


はあ?何を言ってるんだ?そんなの一ミリモ理解…できソウニ・・・ナ・・・





ガアア












男の走馬灯はここで途切れた。


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