2号店初の決戦日 決着!
バレットさんとレオさんがシャンパンタワーをホールの真ん中へ移動させてる……。 なんでっ⁉
ヴァンさんが先導してコールが始まった!
「「「さあ本日ラストー! 『ラストー!』 始まりました! 『始まりました!』 なんとなんと! 『なんとなんと!』 シャンパンタワー! 『シャンパンタワー!』 6段! 『6段!』 ぶち込んで! 『ぶち込んで!』 くれたのは! 『くれたのは!』 こちら! 『こちら!』 素敵な! 『素敵な!』 姫と! 『姫と!』 王子! 『王子!』 ありがとうございます! 『ありがとうございます!』 ディメンション全員集合! 『集合ー!』」」」
アレンさんがクラリゼッタさんをエスコートしてシャンパンタワーの前へ……。 さっきのブランデーだけじゃなかったの⁉
魔王様を見るとふんぞり返ってニヤニヤしてる。
「「「さーディメンションのナイト全員集まったところで! 『オイ!』 タワーの! 『オイ!』 準備! 『オイ!』 できた! 『オイ!』 ところで! 『オイ!』 1本目いきまっしょーい! 『オーイ!』」」」
ポンッ!
「「「それでは! 『それでは!』 素敵な 『素敵な!』 思い出を! 『思い出を!』 姫様! 『姫様!』 ありがっとーーーい! 『ソレソレソレソレ!』 さあモエリ白! 『モエリ白!』 ついじゃってーついじゃってーついじゃってー! 『ついじゃってーついじゃってーついじゃってー!』 ついじゃってーついじゃってーついじゃってー! 『ついじゃってーついじゃってーついじゃってー!』 ついじゃってーついじゃってーついじゃってー! 『ついじゃってーついじゃってーついじゃってー!』」」」
アレンさんがクラリゼッタさんと一緒にシャンパンタワーの一番上のグラスにシャンパンを注ぐと、白い泡がまるで雪化粧のように上から下へとグラスタワーという山へ彩をつけた……。
ナイトさん達の「ついじゃってーついじゃってーついじゃってー!」という声は終わらない。 アレンさんとクラリゼッタさんがどんどんモエリ白を注いでいく……。
カリンさんはキキさんララさんと一緒にポカンとその様子を見ていた。 私とアーニャも。
「「「『ついじゃってーついじゃってーついじゃってー!』 ハイッ! 15本完了! さータワー完成したところで! 『オイ!』 姫と王子の! 『姫と王子の!』 一言! 『一言!』 頂きまっしょーい! 『オーイ!』」」」
「これでわたくしがこの店の頂点ね?」
「はい! さすがクラリゼッタ様です! ありがとうございます!」
「「「アーリガッザーイ! 『アリガッザイ!』 それでは! 『それでは!』 姫様! 『姫様!』 ありがとうございます! 『ありがとうございます!』 みんなでシャンパン頂きまーす! 『頂きまーす!』」」」
アレンさんが頂上にあるグラスをクラリゼッタさんへと渡す。 まるで「貴方が頂点です」とでも言うように……。
そして「ジャンジャン飲め飲めー!」という掛け声とともにナイトさん達が全員で次々とシャンパングラスを空けていく! アレンさんはものすごい勢いだ! もしかして亜空間魔法を展開できるようになったの⁉
「「「それでは! 『それでは!』 姫の愛を! 『姫の愛を!』 全て頂きましたァ! 『アーッザーーース!』 うーソレソレ! 『ワンツーいやほい!』 ナンバーワン! 『ナンバーワン!』 王子が! 『王子が!』 ナンバーワン! 『ナンバーワン!』 アレンが! 『アレンが!』 ナンバーワン! 『ナンバーワン!』 ディメンション全員! 感謝の気持ちを込めまして! 『あーりがとうございましたァーーー!』」」」
シャンパンを飲み干してコールが終わり、バラバラとナイトさん達は席へ戻って行った。
アレンさんナンバーワンの象徴であるタワーは、空のグラスが残骸として散らばり無残だ。 儚い。
「アレンさんがナンバーワン……」
「負けたー!」
「アーニャがルフランさんに賭けたからだよぅ!」
「ヒドイ! ラストオーダー終わった後に言ったからノーカウントだよ!」
「そういえばそうだね……あ、カリンさん暴れないかな⁉」
「集え、鎮魂歌────」
私も〈集音〉っと……。
「カリン、頑張ってくれたのにゴメンなー……ナンバー2だ」
「ズルくない⁉ ラストオーダーの後にタワー入れたんじゃないの⁉」
「いや、全員のラストオーダーを取り終わってすぐに、バレットさんからアレンのラストオーダーの念話が来たよ。 アレンはズルしてない」
「そんな……じゃあルフランは知ってたの?」
「ゴメンな、嬉しそうなカリンを見てたら言えなくてさ。 でも精一杯頑張ってくれてホントありがとうな」
「うぅ~~~! 悔しい~~~!」
カリンさんは泣き出してしまった……。 ルフランさんがなだめている。
「タワーを入れた貴族はさ、スゲー嫌な奴でナイト全員が避けてたんだ。 『どうか永久指名なんて入りませんように』ってな。 でもアレンだけは自ら永久指名を取りに行った。 その時点で俺ら全員アレンに負けてたんだよ……。 完敗だ!」
「……アレンなら分かる気がする」
「クラリゼッタ様お見事でした。 ありがとうございます!」
「オホホ! わたくしの戦略は完璧だったわ! 楽しかったわよ?」
「さすがクラリゼッタ様ですわ! 平民に負けるわけがなくってよ!」
「そうね! クラリゼッタ様こそ本物のプリンセスよ!」
くっ……確かにクラリゼッタさんは本物のプリンセスだったし、アレンさんがナンバーワンになったのは嬉しいけどぉ!
「魔王様ぁ! カリンさんをぬか喜びさせてから蹴落とすなんてやっぱりクラリゼッタさん性格悪いですぅ!」
「アホか。 クラリゼッタみたいな客がいるから盛り上がるんだろ! ブランデーとタワーでコールを分けるのはアレンが教えたな、さすがアレンだぜ!」
「アレンくん中々腹黒いね!」
「ええ……。 カリンさんが可哀そうですよぅ!」
「ラストオーダーで何を入れるかで勝負は決まってたんだ! 後はコールの順番による演出効果だ! 誰も何も悪くないぞ!
見てみろ、もうカリンは笑ってる」
え? チラリと覗いてみるとカリンさんはいつもの勝気な笑顔を取り戻していた。
「200万しか持ってこなかったのが失敗だった! 来月はもっと持ってくるからね! 絶対負けないから!」
「おう! 来月こそナンバーワンだ!」
ホ、ホントだ……。 そしてどこからそんなお金がっ⁉
「ミアくん3位だったね……看板に載るのを見たかったよ……」
「アンナありがとうニャ! でも二つ名はもらえるから楽しみにしててニャ!」
「くっ……! 予算オーバーしても勝てないなんてっ!」
「ミアくんっ! 私たちの中では永遠のナンバーワンだからねっ!」
「ディアナとルナもありがとうニャ! アイドルへの道は厳しいって代表が言ってたニャ! これから頑張ればいいニャ!」
ミアさんの席も大丈夫そうだ。
お客様達はアレンさんにナンバーワンおめでとうと一声かけてから帰って行った。 最後にアレンさんがクラリゼッタさん達をお見送りして今日の営業は終了。
「お疲れ! アレン、ナンバーワンおめでとう! プチミーティングするぞー!」
決戦日最後のお仕事だ!




